2013 Fiscal Year Annual Research Report
衝突・剥離・付着現象の変分法的アプローチによる数理解析
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23340024
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小俣 正朗 金沢大学, 数物科学系, 教授 (20214223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 雅晴 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20314289)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 数値解析 / 変分問題 / 離散勾配流 |
Research Abstract |
本研究は、弾性体・粘弾性体・流体などの動力学・相互作用をエネルギー交換系として記述し、変分法に基づいた数学的解法とシミュレーション技法(計算技術)を確立することを目標としている。対象となる物体は人体内構造物を想定している。相互作用として付着・剥離・衝突・吸水・脱水現象を想定する。この範疇では対象物が体積保存するなど「大域的制約条件」が付く場合が多い。そこで、エネルギー法(Lagrangian)に基づく方法論を導入して解析を進めている。これは変分法が偏微分方程式に比べて大域的情報を取り扱い安いからである。 弾性体の振動を記述する場合、解の存在と正則性を得るために強力な武器である最小化法が使えない。この困難を克服し、運動・時間発展を伴う諸現象で、非局所効果や不連続性のある諸問題を連成解析も視野に入れて統合的に扱う解析手法とそれに基づく数値解析アルゴリズムの開発を目指してきた。 この結果、多層の泡の解析や弾性体ボールのバウンスなど体積保存や位置エネルギーなど大域情報を破綻無く扱える数値解法の開発に成功しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の進捗状況は予定通りである。大域的情報を扱う変分的手法を双曲型偏微分方程式まで有効に拡張できている。 マルチバブル(ジャンクション付きの多層泡)をエネルギーのみで記述してその運動を記述するのに成功したことを始め、ボールのバウンスについても変分的取り扱いで数値的に正しいと思われる解法を開発した。 よって達成度は当初の80%に達していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、基本的アルゴリズムの開発のみならず、高速な解法を開発することをも目標にしていた。この点において、やや不十分なところがある。変分的解法の高速化は行列方程式を用いる方法に比べて高速化が遅れており、この部分の進歩が実用には欠かせない。 並列化アルゴリズムの開発や、直接法の本質的な改善をはかって行くことが今後の研究の中心課題になると考えている。 方法としては、本来備わっていないヘシアンの情報をうまく拾い、前処理と合わせた新たな方法論を作る方向で突破するように検討している。
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Research Products
(4 results)