2012 Fiscal Year Annual Research Report
無限自由度量子系の確率解析的手法による非摂動的スペクトル解析
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23340032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣島 文生 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (00330358)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 場の量子論 / スペクトル解析 / くりこみ / 汎関数積分 / ファインマン-カッツ公式 / ベルンシュタイン関数 / 基底状態 / シュレディンガ-作用素 |
Research Abstract |
24年度の研究実施計画書に記載された計画に沿って実績報告する。 1(b) 擬リーマン多様体上定義されたPF模型およびネルソン模型のスペクトル解析は当初の計画程には進まなかった. 3(a),(b) Bernstein 関数へ一般化されたPF模型の汎関数積分によるスペクトル解析. この研究は大きな進展があった.Bernstein関数の特別な場合である、準相対論的PF模型の汎関数積分による解析がほぼ終了した.その結果、本質的自己共役性、マルチンゲール性をつかった固有関数の減衰性の評価、基底状態のガウス型domination,そして基底状態に付随したギブス測度の構成に成功した.論文Functional integral approach to semi-relativistic PF model にまとめ現在国際誌に投稿準備中である。 4(a),(b) 汎関数積分によるネルソン模型の紫外切断除去に関しては非常に大きな発展があった.まず汎関数積分による紫外切断の除去には成功し、現在論文Ultraviolet renormalization of the Nelson Hamiltonian through functional integrations にまとめ国際誌に投稿準備中である。 その他研究の副産物として、スピンボゾン模型の汎関数積分による解析、Rabi模型の基底状態エネルギーのno crossingの解析などを実施し、論文にまとめ国際誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた中で、(1) 準相対論的PF模型の汎関数積分による解析,(2)汎関数積分によるネルソン模型の紫外切断除去, に関して非常に大きな進展があった。 (1)に関しては,ミニマル結合という特殊事情とnon-local(非局所的)な作用素という2つの困難からどうしても汎関数積分を上手く利用することが出来なかったのだが、解析接続のうまい方法,マルチンゲール性の証明,local weak 収束という概念に気がついて研究が多いに進展した. 残された問題もあるが予想以上の結果になった. (2) に関しては,くりこんだハミルトニアンの下からの有界性をなかなか示すことが出来ず,困難を極めていたのだが,場の量子論の技術とシュレデインガー作用素の解析技術をつかって見事に証明することが出来た. その結果自己完結的で非常にきれいな結果になった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に沿ってひきつづき研究を行う計画である。 3(b) スピンがある場合に研究を拡大する. 3(a)でスピンのない場合に大いに発展したのでこの拡大は自然なものと考えている. 実際スピンがあってもすでに汎関数積分表示は与えられているので, 困難はないと考えている. 4(b) くりこまれたネルソンハミルトニアンが生成する熱半群の正値改良性を示す.4(a)で大きな進展があったので, この結果を利用できると考えている. さらに一般的に紫外切断のくりこみ理論の一般化も視野に入れて考察する. 具体的には多様体上のネルソン模型, 相対論的運動項をもったネルソン模型の汎関数積分による解析を考えている. 6 PF模型のボゾン数の評価を与える.3(a)の手法を利用する計画である. その他 (1) 今年度進展をみなかった1(b)の多様体上の場の理論の解析も研究実施計画通りに試みる.(2) 非可換調和振動子の解析に場の理論を応用する.
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