2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
草野 完也 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (70183796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 歩 京都大学, 宇宙総合学研究ユニット, 助教 (50390620)
塩田 大幸 独立行政法人理化学研究所, 基幹研究所, 基礎科学特別研究員 (90462192)
今田 晋亮 国立天文台, ひので科学プロジェクト, 研究員 (40547965)
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Keywords | 太陽 / フレア / 磁気リコネクション / CME / トリガ / MHD / シミュレーション / ひので |
Research Abstract |
太陽フレア発生のトリガ機構を解明するために、様々な太陽表面磁場の構造に関して網羅的に3次元電磁流体力学(MHD)シミュレーションを実施した。シミュレーションの初期条件として線形フォースフリー場を与えると共に、磁気中性線近傍に動的に磁束を太陽表面より入射する計算を行った。初期磁場のシア角と入射磁場の方位角をパラメタとしたサーベーの結果、初期磁場のポテンシャル磁場或いは非ポテンシャル磁場に対して反転した方向の磁場を入射した場合のみにフレアが発生することを発見した。ポテンシャル磁場に対向する反極性磁場を入射した場合には、捻じれた磁束管が初めに生まれ、これがトーラスモードに対して不安定化する結果として磁気リコネクションが駆動される。一方、非ポテンシャル磁場に対向する逆シア磁場が入射された場合には、シア磁場の消滅の結果、磁気アーケードが内部に収縮し、磁気リコネクションが駆動されることを明らかにした。また、いずれの場合も初期の磁気シアが大きいほど大規模なフレア爆発となることも定量的に明らかにした。 さらに、ひので衛星による観測データを解析し、2006年12月13日、2011年2月15日などに発生した複数の大規模フレアで、その発生領域にシミュレーションで見出された2つの特徴的な方位角のどちらかを持つ磁場構造が実際に存在することを確認した。いずれの領域でも反極性または逆シア磁場の近傍でカルシウム線の発光がフレア発生の数時間前に観測された。これらはフレアを駆動するための前躯的磁気リコネクションの結果であると解釈することができる。以上の結果は、精密な磁場と小規模な発光現象の観測をもとに大規模フレア発生の決定論的な予測が可能であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画していた項目は(1)非線形フォースフリー磁場モデルの高度化、(2)第23太陽周期のデータ解析による前兆現象の発見(3)フレア再現実験プロトタイプの実施、(4)数値実験による爆発解の探査、(4)予測スキーム開発のためのデータの整備の4点である。このうち、(1)を除いて達成するだけでなく、数値計算とデータ解析を通してフレアの基本的なトリガ機構を解明すると共に前兆現象を捉えることに成功した。これらは研究計画全体の前半の目的に対応しており、当初の計画以上に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果をさらに発展させ、イベント解析を増やすことで平成23年度に発見した2つのトリガ機構によってどれほど一般的にフレア発生を説明できるかを明らかにする。また、シミュレーション結果を詳細に解析することによって、理論的にフレア発生を説明する単純な数理モデルを導出する。さらに、磁場観測に基づくデータ駆動型数値シミュレーションを実施し、フレア発生の数値予測の実現可能性を探る。このため、3次元磁場モデルの高度化を進め,非フォースフリー磁場成分も含んだ太陽活動領域の平衡磁場を構築する方法論を開発する。
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