2011 Fiscal Year Annual Research Report
2010年夏のロシアブロッキングの成因,予測可能性と日本の猛暑への影響の解明
Project/Area Number |
23340141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
向川 均 京都大学, 防災研究所, 教授 (20261349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 友二 気象庁気象研究所, 気候研究部, 主任研究官 (80343888)
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Keywords | ブロッキング / 予測可能性 / アンサンブル予報 / 大気循環 / 異常気象 / 猛暑 / 夏季 |
Research Abstract |
2010 年夏にロシアで生じた長寿命ブロッキングの形成・維持・減衰メカニズムと予測可能性の解明を目指し,以下の研究を実施した. 1.気象庁作成のJRA-25/JCDAS 再解析データセットを用いて,2010年夏にロシアで生じた長寿命ブロッキングの形成・維持・減衰メカニズムについて解析した.特に,準定在性ロスビー波(低周波擾乱) がブロッキングの形成・維持に果たした役割を定量的に分析した. 2.ヨーロッパ域及びロシア域でブロッキングが発生していた2010年7月から8月までの期間について,気象研究所大気大循環モデル(AGCM) を用いて以下の仕様でアンサンブル予報実験を実施した.まず,積分初期時刻は6時間毎とし,実際の海面水温分布をAGCMに与える.また,時間積分の期間は初期時刻より40日間とした.これら一連の積分結果から,初期時刻が5日間毎の20ランを一つのアンサンブル予報として取り扱い,毎週1回しか実施されない気象庁1ヶ月アンサブル予報を補完するデータセットを作成した.この予報実験結果を解析することにより,2010年夏のロシアでの長寿命ブロッキング発生期間における予測可能性の変動を明らかにした. 3.ブロッキング発生期間で特にブロッキング発生領域の予測可能性が低かった期間について,気象庁1ヶ月アンサンブル予報の全メンバーの予測結果を用いた詳細な解析を行った.この解析では,Takemura and Mukougawa (2010)で用いた解析手法を用いて,ブロッキングの予測に影響を与えた初期擾乱を求めた.その結果,ブロッキング領域のすぐ上流のイタリア付近での低気圧性循環の強さがブロッキング強度と統計的に有意に関連していることが示された.また,両者の関係が有意な期間は数日以内でありごく短期間であることも示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシア域のブロッキングの予測可能性について今年度予定していた解析をほぼ実施することができた.また,気象研究所AGCMを用いたアンサンブル予報実験も一部期間を除き実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 今年度実施できなかった2010年6月中を初期値とするアンサンブル予報実験を今年度と同じ実験設定で実施する. (2) 移動性高低気圧などの高周波変動成分についても解析を行い,高周波変動成分がロシア域ブロッキングの形成・維持に果たす役割を明らかにする.
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Research Products
(42 results)