2012 Fiscal Year Annual Research Report
高性能3次元蛍光X線分析装置の開発と鑑識科学への応用
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23350034
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
辻 幸一 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30241566)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 放射線、X線、粒子線 / 解析・評価 / 可視化 / 共焦点顕微鏡 / 鑑識科学 / 蛍光X線分析 / 非破壊分析 / 深さ方向分析 |
Research Abstract |
研究室において高い空間分解を有する共焦点3次元蛍光X線分析装置を開発し、鑑識科学分野に応用することを目的として研究に取り組んだ。高性能のX線検出器、ポリキャピラリーX線レンズを搭載する真空仕様の高空間分解能の3次元蛍光X線分析装置の開発に成功した。7-8種類の元素からなる薄膜標準試料を作成し、空間分解能のエネルギー依存性を評価した。その結果、Au L線の蛍光X線エネルギーにおいて15ミクロンと真空下では世界最小レベルのスペックが実現できたことを実証した。特に軽元素の検出下限について、軽元素を含むガラス標準試料を用いて評価した。その結果、分析領域は数10ミクロン領域に限定されているにも関わらず、これまでの微小部蛍光X線分析法と同等か、それ以上の検出下限値と評価された。Al, Mg, S, Pなどの軽元素の検出に大変有効であることを確認した。この装置はウィーン工科大学の研究グループにより開発された同様の装置とも比較し、特徴づけを行った。開発した装置は、高空間分解能で高感度な装置であると評価できる。 この装置の特徴は非破壊的に試料内部の元素分布情報が得られることである。そこで、いくつかの層状構造を有する鑑識試料(例えば、自動車事故現場に残された自動車塗装片など)に応用し、非破壊的に深さ方向の元素分布プロファイルを得ることに成功するとともに、鉄鋼塗膜表面での腐食挙動のモニタリングにも応用した。すなわち、自動車鋼板などに使用される塗膜鋼板に傷を付与し、その傷から海水中での腐食がどのように進行するか、非破壊的に調べた。その結果、塗膜下での腐食に伴い、P, Znなどの元素の溶解とFe元素の移動の様子が明確に可視化できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目的とした波長分散型X線検出器の導入は総助成金額の不足や感度不足の観点から見送った。しかし、真空仕様の共焦点型3次元蛍光X線分析装置の開発により、これまで検出さえ困難であった軽元素の分析が行えたことから、アプローチの方法に修正があったものの、当初の目的は達成できた。加えて、装置の試作と分析特性の評価を終え、実際の鑑識試料の分析にも着手し、成果が得られた。特に、空間分解能は同種の装置としては、世界最高の数値を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は固体標準試料を用いて、各元素毎に検出限界の評価を行う。並行して、兵庫県県警科捜研の研究員とも連携しながら、実際のいくつかの鑑識試料の分析に応用していく。元素マッピングは大変有効な情報を与えるが、実用化においては測定時間の短縮が課題である。そこで、測定の高速化について継続的に取り組む。さらに、本手法の工業材料への応用を目指し、鉄鋼材料表面の元素分布解析にも応用していく。また、この手法の国際標準化も重要な課題であり、評価方法の標準化を進めていく。
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Research Products
(43 results)