2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23350041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 京都大学, 工学研究科, 教授 (20174279)
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Keywords | 含窒素複素環 / トリアゾール / 脱窒素 / 遷移金属 / メタラサイクル |
Research Abstract |
我々の現代生活は高度の機能を備えた多様な有機化合物の基盤の上に成り立っている。なかでも含窒素環状化合物は、医薬品や有機電子材料など多くの有用物質の母核をなしている。このように含窒素環状化合物の重要性が急速に増大している一方、その合成化学に目を転じると既存の合成手法の限界や不備が露呈する場合が増えている。本研究では、遷移金属が触媒として関与する素過程を含窒素環状化合物の合成化学に積極的に取り入れて、斬新な合成手法を開拓することを目的とする。具体的には、以下の四つの柱からなる研究課題を中心に研究を推進する。(1)トリアゾール化合物の脱窒素過程を経る[5-2+2]型付加環化反応の開発(2)C-H結合活性化を経る合成法の開発□(3)不飽和有機化合物とイソシアナートの分子間不斉[2+2+2]付加環化反応(4)アルケンの分子内アミノホスフィン化反応。 今年度は、(1)の研究について詳細に検討したところ、ニッケル触媒とホスフィン配位子の存在下でN-トシル-1,4-二置換トリアゾールにアレンを作用させると、イソピロールが得られることを見出した。次いで、酸触媒を用い、これを異性化させたところ、三置換ピロールに変換できた。また末端アルキンとトシルアジドから直接的に合成する方法が最近になって開発されたN-トシル-1,5-二置換トリアゾールを用いても、ニッケル触媒による脱窒素アレン挿入反応と続く酸触媒によるオレフィン異性化反応が進行することを見出した。すなわち、これを上記の合成手法と組み合わせることで、三置換ピロールの4位と5位のみが入れ替わった化合物を作り分けることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあるように、N-トシルトリアゾールの脱窒素過程を経る[5-2+2]型付加環化反応の開発が成功し、三置換ピロールを位置選択的に合成することが可能になったので、達成度をおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度の結果を踏まえ、(2)C-H結合活性化を経る合成法の開発を中心に研究を行う。具体的には、ベンズアニリドの脱水素環化反応の開発を行う。予備的な検討の結果、安息香酸を溶媒として用いることでベンズアニリドの脱水素環化反応が触媒的に進行し、フェナントリジノンを好収率で与えることを見出している。そこで、この反応について反応条件の最適化と、基質適用性についての検討を行う。
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