2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23350081
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
堀 弘幸 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20256960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勉 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20292782)
平田 章 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (60527381)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 核酸 / タンパク質 / ゲノム / 酵素 / RNA |
Research Abstract |
本研究は、RNA成熟に関するRNA修飾酵素、スプライシング酵素群の構造と機能を包括的に議論し、生命進化に伴うそれらの変遷を探ろうという計画です。平成24年度は、その2年目に当たり次のような成果を得ることができました。 (1)最小クラスの生命体・ARMAN-2の介在配列除去システム(tRNAスプライシングエンドヌクレアーゼ)のX線結晶構造解析に成功し、このシステムがおそらくARMAN-2が進化したごく短期間に独自に幅広い基質RNA選択性を獲得したことを推定し、Nucleic Acids Res.誌に報告することができました。本研究は、慶応大学、アメリカ航空宇宙局(NASA)エイムズ研究所、カリフォルニア大学バークレー校との共同研究であります。また、この研究成果は、愛媛大学ホームページ研究欄で取り上げられた他、愛媛新聞平成24年9月23日朝刊でも報道されました。 (2)葉酸依存性RNAメチル化酵素(TrmFO)の基質RNA認識機構について、J. Biol. Chem.誌に報告することができました。当研究室が開発した二段階酵素活性測定法の改良バージョンが、酵素反応の精密解析を行う上で威力を発揮しました。 (3)ヒト細胞に熱ショックを与えた時、タンパク質合成系が停止する現象はよく知られており、これまで、tiRNA産生によるタンパク質合成系の阻害によると説明されてきました。しかしながら、研究代表者らは、開始メチオニンtRNAが細胞質で特異的に分解されること、核から細胞質への開始メチオニンtRNAの輸送が一時的に停止し核内に蓄積すること、分解するヌクレアーゼはXrn1/2であることなどを発見し、新たな経路として、Nucleic Acids Res.誌に報告することができました。本研究成果は、温熱療法が、どうやってガン細胞のタンパク質合成系を停止させているのかを解明したとも言えます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、3年計画の2年目でありました。ほぼ予定どおりの進捗状況にあると言えます。個別の研究課題では、m2G6メチル化酵素遺伝子同定の論文を海外のライバルグループに先に出されるなど、予定外のことがありました。しかしながら、インパクトある国際学術誌に3つの論文を報告できています。また、現在、投稿間近にあり、詰めを急いでいる研究課題がいくつもあり、国際的にも十分に評価される研究業績を得ることができております。よって、きわめて順調に進展していると判断できます。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は3年計画の最終年度であり、いくつもの研究課題において、国際的学術誌へ投稿すべく、最終の詰めを急いでいる状態にあります。具体的には、トポロジカル・ノット型RNAメチル化酵素のtRNA認識部位に関する論文、好熱好酸古細菌の新規tRNA修飾に関する論文、真正細菌型tRNA (m1A58)メチル化酵素の基質認識に関する論文、古細菌tRNAリガーゼの構造と機能に関する論文、真核生物マルチサブユニットRNAメチル化酵素の基質認識に関する論文などです。おそらく、これらのうちいくつかは平成25年度中に受理されるものと思います。よって、初期計画は変更せず、実施する方向で考えています。
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Research Products
(26 results)