2011 Fiscal Year Annual Research Report
階層型連成現象シミュレーションによる燃料電池内の物質移動メカニズムの解明
Project/Area Number |
23360079
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大島 伸行 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10217135)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 正夫 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30274484)
栗原 央流 大分大学, 工学部, 准教授 (90344481)
矢口 久雄 群馬工業高等専門学校, 助教 (20568521)
|
Keywords | 数値流体力学 / 燃料電池 / 多孔質 / 物質輸送 / 連成解析 / 分子動力学 / 気液海面 |
Research Abstract |
高分子形燃料電池内(PEFC)の物質移動現象の合理的な予測法としてナノスケールの電気化学反応機構とマクロスケールの熱流体力学的機構を関連付ける「階層型連成シミュレーション」のための基盤モデルの構築と実証を行う。特にPEFC内液水分布の影響に着目したマクロスケール(平均モデル)・メゾスケール(格子ボルツマン法)・ナノスケール(分子動力学)の3つの階層モデルの構築・改良、各スケール現象における物質移動特性と燃料電池性能への寄与予測、および、それらの相互関連の検証を行う。それぞれの階層モデルにおける研究課題として以下を実施した. 課題1 マクロスケールモデルによるMEA全体モデリングとPEFC特性シミュレーション PEFC物質輸送シミュレーションにおいて多孔質・触媒層・電解質のメゾ・ナノ構造によって生じる非一様性、非等方性を考慮した拡張モデルを構築するため、申請者らが汎用流体解析ソフトウェアFrontFlowを基に開発した燃料電池流動シミュレータにおいて各モデルを試作し,基本的な現象予測に適用して検証を行った. 課題2 多孔質構造モデリングと液水輸送シミュレーション 従来個別に議論されてきた触媒層におけるH2O輸送の3相モデルを連成して評価し、また、メゾ・ナノスケールの直接シミュレーションによる知見を導入することで、特に触媒層の水輸送モデルの再構築,および,基礎的現象における数値検証を行った. 課題3 気液界面の分子動力学モデリングと拡散素過程シミュレーション 液滴、液膜の共存する場の物理的特性をMD法によって明らし,触媒層内を想定した数nmのオーダーの液滴、液膜の形成機構と、それを介してのガス拡散速度予測に関する予備的計算を実施した.また,高精度予測実現のため,GPGPU型並列計算による大規模シミュレーション・プログラムの試作をおこなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各課題において,解析モデルの検討と基礎的現象における検証,および,最終的な目的達成のためのソフトウェアの改良・構築を計画通り実行し,ほぼ,当初想定した成果を得た.よって,次年度以降も計画通りの研究実施を行うことができる.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度研究により獲た成果により,本研究計画が達成できる期待は大きくなった.次年度以降は,本研究進展と平行して,研究成果の燃料電池技術開発へのフィードバックを推進するため,企業等との情報交流,および,知財,ソフトウェア知見の公表などを通した技術移転を計画実施したい.
|
Research Products
(11 results)