2011 Fiscal Year Annual Research Report
パワーエレクトロニクス回路における低ノイズ化トポロジーに関する研究
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23360126
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
庄山 正仁 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (40187513)
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Keywords | スイッチングノイズ / ブリッジレスPFC / 寄生要素 |
Research Abstract |
近年、低炭素社会の実現に向けて、環境に優しいハイブリッド自動車や電気自動車の普及が促進され、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーの利用が注目されている。今後、これらの機器において、パワーエレクトロニクス回路が多用されることが予想される。しかし、パワーエレクトニクス回路ではスイッチング素子が高周波でオン・オフ動作を繰り返すため、それ自体がスイッチングノイズの発生源となり、伝導・放射ノイズとして周囲にノイズをまき散らし、機器の誤動作の要因となる恐れがある。これに対し、従来、ノイズフィルタやスナバ素子などを主回路に後付けしてノイズ対策を行っていたが、サイズや重量の増加、およびコスト上昇を招き、試行錯誤的な対策に多大な時間を要していた。本研究は、応募者が以前に提案した、パワーエレクトロニクス主回路におけるトポロジーの工夫によるノイズ低減法を基礎技術とするもので、本研究でこれをさらに拡張・発展させ、応用範囲を広げる。これにより、来るべき低炭素社会において、ノイズ環境にも優しいパワーエレクトロニクス回路を実現し、明るい未来社会を創出することを目的とする。 今年度は,研究の初年度である。まず,これまでに提案したトポロジーの工夫による低ノイズ化基礎技術の整理を行った。その結果,スイッチングノイズの原因は,殆ど回路の寄生要素にあり,それら寄生要素をなくすことが難しい場合は,ノイズ電流をキャンセルするなどによって相殺する方法が有効であることが確認できた。次に,最近注目されている「ブリッジレスPFC (Power Factor Correction,力率改善)回路」に注目し,各種ブリッジレスPFC回路トポロジーとスイッチングノイズの大きさとの関係について調べた。その結果,主回路動作だけでは,スイッチングノイズの評価検討はできず,寄生要素を含めた検討が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,これまでに提案した,トポロジーの工夫による低ノイズ化基礎技術の整理を行った。次に,最近注目されている応用例の一つである「ブリッジレスPFC回路」に注目し,各種回路トポロジーとスイッチングノイズの大きさとの関係について調べた。また,携帯電話用の小型スイッチング電源のパターンレイアウトと放射ノイズとの関係について調べた。まだ,ノイズ低減手法の一般化には到達していないが,検討材料は集まりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ブリッジレスPFC回路については,回路トポロジーとスイッチングノイズの大きさとの関係について,今後,その原因究明を行い,そこで得られた知見をもとに,新しいブリッジレスPFC回路の提案を行うことを検討する。また,この知見を他のスイッチング電源(DC-DC, AC-DC, PC-AC, AC-ACコンバータ)すなわち,一般のパワーエレクトロニクス機器に拡張し,低ノイズ化トポロジーの一般化に結びつけたい。 この他,低ノイズ化基礎技術であるノイズ電流キャンセル技術を拡張・発展させた「ノイズ電圧キヤンセル技術」 の検討は,今後の課題とする。
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Research Products
(4 results)