2012 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体を用いた不揮発的共振制御と振動型MEMSデバイス高機能化への応用
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23360136
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 馨 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40263230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 実 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20294168)
藤田 孝之 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336830)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 圧電体 / 強誘電体 / MEMS / 共振 / 分極 |
Research Abstract |
振動型MEMSデバイスの高機能化として超音波アレイセンサの高分解能・低ゴースト化の検討を先行して開始した。共振周波数可変の超音波センサ素子を用いることにより,複数周波数での計測結果を合成して,従来限界と考えられていた素子数を大幅に下回る素子数で構成したアレイにおいて,角度分解能を低下させずにゴーストを押さえることを可能とした。指向性パターンの計算機シミュレーションにより,まず2周波数計測においては16素子アレイにおいて基本周波数と75%の低周波数を組み合わせることにより最適な指向性パターンを形成できることを示した。実センサの特性として,この共振周波数比133%を一つの目標到達点とすることができるようになった。 共振周波数可変型のMEMSデバイスとして,前記の計測方法に適用するための超音波マイクロセンサを作製した。まずは昨年度開発したシリコン熱酸化膜ダイアフラムの脆弱な構造体上にも歩留まり良くセンサを作製するプロセスを改良し,ダイアフラムの静的撓みを制御する方法を開発した。これにより,簡便なプロセスにより歩留まり良く高感度なセンサを作製することができるようになった。さらに,センサの検知電極部分の圧電体をポーリングすることにより,感度向上のみならず共振周波数制御性の改良を試みた。センシング電極へのポーリングにより,ダイアフラム全体へオフセットとして応力が重畳され,チューニングによる共振周波数バタフライカーブが高周波側にシフトすることが確認された。このことから,ポーリング電圧とチューニング電圧の組み合わせを最適に選ぶことにより,感度の向上(ポーリングによる通常の効果として平均10倍程度)と周波数制御性の10%向上を両立できた。一方,チューニング電圧に対する感度のバタフライ特性も得られたが,バタフライ形状がポーリング電圧により変化することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では後半に実施する計画であったMEMSデバイスの高機能化について,共振周波数可変型超音波センサを用いた複数周波数による高分解能計測を着手進展できた。作製・評価デバイスを超音波センサに特化することにより,共振周波数変化のメカニズム解明という点では汎用性が下がり視野が狭くなるかと思われたが,逆にセンサ特性の改良という観点から,ポーリングとチューニングを組み合わせた現象を通して新たな観点からメカニズム解明と実センサ応用への両面の研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
共振周波数可変型超音波センサの構造を用いて,今年度新たに見いだされたポーリングとチューニングを組み合わせた際の感度と周波数制御性の変化を詳細に調べる。これにより,共振周波数制御性の解明と実デバイス高性能化の両面から研究を推進する。
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