2012 Fiscal Year Annual Research Report
形状効果によるラチェット挙動に基づく超伝導ナノブリッジダイオード開発とその応用
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23360152
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
井上 真澄 名城大学, 理工学部, 教授 (00203258)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 高温超伝導体 / ナノブリッジ / 形状効果 / ラチェット / ダイオード |
Research Abstract |
平成24年度はスパッタリング製膜が不調となり,対策および修理に半年ほど要したため実験が延長し,予定の内容について期間を25年度まで延長して実施した。 (1)ナノブリッジ・ダイオードの構造検討および作製: ブリッジに接続する配線部分はブリッジよりもかなり幅が広く,マイスナー効果により排除された磁束がブリッジ付近に集中すると考えられることから,配線の幅方向のブリッジ位置の異なるものについて,印加磁場に対する臨界電流の変化量のブリッジ場所依存性を調べた。その結果,ブリッジ場所依存性が観測され,括れ側に流れる遮蔽電流の大きさが臨界電流の変化量に影響するためと考えられた。また,ブリッジの電流-電圧特性において,電圧状態での発熱が特性に支配的影響を及ぼしていることが考えられた。ブリッジの本来の確認するため,特性ナノブリッジに電子ビームを照射して臨界電流密度を制御して低減化する試みを行った。試料数は少ないが,電子ビーム照射により臨界電流密度の減少を示す結果は得られている。 (2)SQUID構造を有するナノブリッジ・ダイオードの構造検討および作製: 非対称ナノブリッジを2本並列にしたSQUID構造を作成した。作製した試料において両ブリッジのブリッジ幅にばらつきが見られたため,作製条件の検討を行った。 (3)計算によるブリッジ特性の解析: 時間依存Ginzburg-Landau (TDGL) 方程式を用いた磁束移動のシミュレーションに関して,差分法では実際の形状に対する境界条件の設定に問題があったため,有限要素法による計算を行うためにプログラムの作成を開始した。また,差分法での計算では,括れた部分での磁束挙動に関して,膜中に設けた四角形の穴周辺でのボルテックス挙動について前年度に引き続いて検討し,磁場侵入長とコヒーレンス長の比が異なる場合についてなどの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度に薄膜加工に用いる装置の故障があり,平成24年度に延長して実験を実施したが,平成24年度に入って試料特性の劣化が見られるようになり,製膜・加工条件の検討,製膜装置の不具合部分の検討および製膜装置の修理などに時間がかかり,計画が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノブリッジ・ダイオードの構造検討および作製については,配線も考慮したブリッジの配置方法についても検討を進めるとともに,大きな特性非対称性を得るためにブリッジを2本並列にしたSQUID構造を作製し,SQUID構造を有するナノブリッジ・ダイオードについて,両ブリッジの形状を独立に変化させた場合の特性などを検討し,最適構造を決定する。計算によるナノブリッジ・ダイオード特性の解析については,時間依存Ginzburg-Landau (TDGL)方程式を用いた数値計算によるシミュレーションのために,差分法の他に有限要素法による計算プログラムの作成を進めるとともに,SQUID特性についての理論計算も行う。これら計算結果と実際のデバイスの測定結果との比較からデバイス特性の解析を進めるとともに,デバイス設計へフィードバックをかけ,デバイス構造の改善を行う。整流回路の検討については,まず半波整流回路の設計・試作を行い,1交流入力に対して1直流出力を出す整流回路において,模擬負荷での出力電流の確認の後,簡単なSFQ回路へのバイアス電流供給試験を目指す。その後,複数直流出力への拡張を検討する。
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