2012 Fiscal Year Annual Research Report
津波の押し波・引き波による地盤の不安定化と海洋構造物被災のメカニズム解明と対策
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23360203
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50271648)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 津波 / 浸透破壊 / 支持力 / 遠心力載荷模型実験 / 洗掘 / 連成解析 / 衝撃力 / 粒子法 |
Research Abstract |
(1)三次元効果を考慮した被災メカニズムの解明: 開水路流れにより飽和地盤表面下で過剰間隙水圧が発生し,その傾向は緩い地盤ほど顕著となり,洗掘を助長させる要因となることがわかった.一方で,不飽和地盤では浸透水と間隙空気の置換が生じ,地盤内の空気の移動および地盤表層へのエアーブロー現象が発生し,地盤剛性の低下および洗掘現象が始まる切欠となることを明らかにした.越流による洗掘現象では,初期の落水衝突に伴い洗掘が開始され,砂質土では越流水の主流のせん断力による洗掘に加え,乱流や渦に伴う乱れにより地盤内に発生した過剰間隙水圧が土粒子を浮遊させることで洗掘を進行させることが分かった.さらに,地震動が地盤内に過剰間隙水圧を発生させ,液状化することで防波堤を大きく沈下させ越流を容易化させること,浸透破壊を助長することで,破壊に至る可能性があることが分かった. (2)事例解析・調査事例の解析および解析モデルの拡張: 東日本大震災の現地調査を2回行った.また,被害情報を収集し,被害形態の詳細について調査した.調査結果と現行の設計マニュアルによる検討を行った結果,被害は波力による構造物の活動,転倒だけでなく,津波来襲前の地震動および液状化による地盤の劣化,その後の沿岸構造物を支える地盤の浸透,洗掘による支持力低下が原因の可能性があることを確かめた.SPH法を用いた,構造物の移動量やその後の津波被害軽減効果評価を定量的把握するための計算手法の準備を進めた.これらの三次元への展開を進行させた. (3)津波対策へ: 海岸構造物の強化方法に関する検討と地盤の不安定化を考慮した設計法: 地盤改良の視点から,どのような地盤改良が,津波来襲時の防波堤に有効であるのか,その効果による分類,どのような箇所に施工するのか,その組み合わせが有効であるのか,などについて整理した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画初年度に東日本大震災が発生し,未曽有の津波被害となった.当初の予定に比べて,事例調査と分析に重点をおくことで,新しい,課題が浮かびあがってきた.これによって.地盤内部の見える化するトモグラフィー開発のスケジュールと洗掘の実験・分析の実行の順番を入れ替え,実施している. さらに,平成23年度9月,平成24年度7月の豪雨災害で,地盤にとっては早い水理的作用によって地盤内の間隙空気が閉じ込められ,噴出するとで地盤内部から地盤を劣化させること,支持地盤が透水係数が大きく異なる境界から洗掘を受けることが明らかにあなった.以上のことを踏まえ,本研究計画において,洗掘の影響について計画を前倒し行うこととした. 以上の研究計画の変更は,計画の後進ではなく,より重点課題となった点を,先に進めることとなったことから,予定よりも計画を前倒ししていることから,計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
防波堤を対象とした耐津波について浸透問題や支持力破壊等の地盤工学的問題について検討してきた内容を踏まえて,さらに以下の点について,検討を進める.a) 海岸構造物に対する現行の設計を援用した検討の提案, b) 海岸構造物の津波外力に対する検討, c) 海岸構造物の地震-津波による多重外力に対する検討, d) 今後考慮すべき,流体-地盤の連成作用の新しい課題.次にように研究を進める. (1)三次元効果を考慮した被災メカニズムの解明: 地盤内の間隙水圧比や変形,密度変化についても計測し,地盤の不安定化現象における三次元効果を明らかにする.洗掘については新たな理論分析やモデル化を進め,破壊予測を可能にする. (2)複合災害メカニズムの解明: 地震による液状化被害と津波被害との相互作用関係を明確にする. (3)事例解析は・調査事例の解析および解析モデルの拡張 (4)津波対策: 津波,地盤,構造物の相互作用を考慮した「ねばり強い」設計について考える.大津波作用時でも大破せず,円滑に津波衝撃力を回避できる海岸構造形態の提案を目指す.
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Research Products
(16 results)