Research Abstract |
本研究は,安定性・安全性・環境面に優れ,あらゆる種類の海洋エネルギー(潮流・潮汐・波浪・砕波・渦など)を回収することが可能な新しいタイプの海洋エネルギー発電装置を提案・開発することを目的としている.そのコア技術は,申請者らが開発している高分子圧電フィルムと弾性素材からなる柔軟発電体である.ここでは,沖合の洋上風力発電施設とのハイブリッド化に適合した海洋エネルギー発電技術の開発を行う.また,既存の直立防波堤,潜堤(リーフ)・没水平板などの消波構造物に,上述の柔軟発電体を組み合わせた全く新しいタイプの発電装置の提案・開発も行う. 1.柔軟発電体の発電性能向上に向けた構造様式の基本設計 申請者が独自開発している柔軟発電体は,高分子圧電フィルムと弾性素材による積層構造によって,潮流・波エネルギー利用において発電効率10~15%程度の発電性能を達成している.ここでは,実海域において発電効率20%超を目指して,新たな積層構造の提案,各種の機能性樹脂材料の適用,各種海洋エネルギー条件による寸法の最適化を行った.その際,シート型やクロス型といったデバイスタイプも考案・開発し,カスタマイズ性と発電性の向上を図った.さらに,その基本的な構造機能特性の解明に関する実験を行い,起電力との関係を明らかにした. 2.水上浮体部と垂下部の運動性能と発電・蓄電性能に関する実験 項目1で明らかとなった基本設計に基づいて,海洋エネルギー発電ユニットの部分構造である水上浮体部・垂下部を個別に製作し,各種海洋エネルギー(波,潮流,渦など)に対する運動性能および発電性能を明らかにした.また,効率的な蓄電回路を設計・製作し,蓄電性能を明らかにした.さらに,水上浮体部および垂下部の運動は,高速ビデオカメラおよびレーザー変位計を用いて計測し,それの発電量との関係を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
柔軟発電体の発電性能向上に向けた構造様式の基本指針を明らかにし,海洋エネルギー発電装置の設計方針をとりまとめるに至った.また,海洋エネルギー発電装置の発電性能,運動性能,消波性能を明らかにした.蓄電回路については,種々の回路設計を行い,蓄電性能向上に向けた知見を得た.
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