2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360275
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
松隈 洋 京都工芸繊維大学, 美術工芸資料館, 教授 (80324721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 潤一郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80151372)
角田 暁治 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60379063)
笠原 一人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (80303931)
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Keywords | 村野藤吾 / 図面 / 非公表 / アンビルト / 戦中期 |
Research Abstract |
京都工芸繊維大学は5万点以上に及ぶ村野藤吾の建築設計図・エスキス類を所蔵している。その中には、設計は完了しているが実施にいたらなかった建築作品、あるいは完成したもののその存在が公にされなかった作品が数十件存在する。本研究は、これらの様態を把握し、村野藤吾の理解に向けて重要な知見を加えるとともに、日本近代建築の社会的背景に対する新たな照明を与えることを目的とする。 本年度は、研究対象として近年新たに発見された図面資料の中から非公表作品および非公表図面資料を選定し、研究のための基礎資料作成の一環として、選定した作品の図面資料の整理・保存作業を行った。作品ごとに分類し、整理カードおよびパソコンでのデータ記入を行い当整理ケースにしまう作業を行なった。また研究対象とする作品を適宜、大型スキャナーでデジタルデータ化する作業も行った。 また、非公表作品および非公表図面資料の解明を行った。本年度は対象として、加能合同銀行本店(現・北國銀行武蔵ヶ辻支店/1932年)、キャバレー・アカダマ(1933年)、そごう百貨店(そごう大阪店/1935年)、大丸神戸店(1936年)、都ホテル(現・ウェスティン都ホテル京都/1936年)、高島屋飯田神戸支店(1936年)、宇部市民館(現・宇部市渡辺翁記念会館/1937年)、客船家具(あるぜんちな丸・ぶらじる丸など/1937-42年)、橿原神宮駅(現・橿原神宮前駅/1939年)、中山半邸(現存せず/1940年)、中林邸(1941年)、牧野山の家(1946年)を選んだ。これらは、ほとんどが戦前に設計されたもので、村野の存命中に非公表作品であったか、作品そのものは公表されていても多数の非公表図面資料が含まれている作品である。 非公表作品については、現地調査や文献調査、写真資料調査などを通じて、所在地や施主、設計経緯、建物の特徴などを明らかにした。非公表図面資料については、それらの資料や追加の文献資料などによる考察を通じて、従来知られていなかった設計経緯や建物の特徴などを明らかにした。これらの研究成果は、第11回村野藤吾建築設計図展を開催し一般に公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、近年新たに発見された図面資料を用いて研究を進めた。その結果、複数の非公表作品についての研究が進み、その建物の特徴や設計経緯などが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、本年度と同様に研究や作業を進め、未知の村野作品について明らかにする。
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