2011 Fiscal Year Annual Research Report
無機固体酸ナノ複合体と芳香族ポリマーをベースとする中温作動燃料電池電解質膜の創製
Project/Area Number |
23360286
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松田 厚範 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70295723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 浩行 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20293756)
河村 剛 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10548192)
大幸 裕介 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70514404)
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究会, 准教授 (50282728)
打越 哲郎 物質・材料機構・ナノセラミックスセンター, 主席研究員 (90354216)
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Keywords | 燃料電池 / 中温領域 / メカニカルミリング / 無機有機複合体 / 固体酸 / 芳香族高分子 / 固体電解質 / 膜・電極複合体 |
Research Abstract |
次世代燃料電池の開発に向けて、100~200℃の中温領域において、無加湿条件下でも高いプロトン伝導性を維持し、化学的に安定な固体電解質膜の必要性が高まっている。中温無加湿作動では、燃料改質器負荷め軽減、白金触媒使用量の低減、加湿器の簡素化、排熱の有効利用が可能になる。 本研究では、衝撃・摩砕などの機械的エネルギーを付与する「メカノケミカル法」を用いて、中温無加湿で高いプロトン伝導性を示す無機固体酸ナノ複合体粒子を合成し、これに耐久性の優れた芳香族ポリマーを融合させた新しい中温作動燃料電池用電解質膜を開発し、燃料電池の中温無加湿発電試験を行っている。また、分光法、高分解能電子顕微鏡などを用いて、得られた電解質膜のプロトンダイナミックス解析および界面構造観察を行い、組成・構造の最適化と特性の改善を行っている。 本年度は特に、以下の重要な研究成果が得られた。 【メカノケミカル処理による無機固体酸ナノ複合体粒子の合成】 リンタングステン酸(WPA)と電気化学的に安定なリン酸二水素カリウム(KDP)の複合体を合成し、両者のイオン交換反応と新たな水素結合の形成によって無加湿プロトン導電性炉向上することを明らかにした。 【無機固体酸ナノ複合体粒子と芳香族ポリマーからなるコンポジット膜電極複合体の開発】 触媒層にミリングナノ複合体を含む電極を用いた膜電極複合体(MEA)では芳香族高分子ポリベンズイミダゾール(PBI)のみをイオノマーに用いたMEAより低い開回路電圧を示したが、内部抵抗が低減され出力密度が向上(160℃無加湿で170mW/cm^2以上)することが明らかとなったこ 【プロトンダイナミックスと界面構造解析】 ミリング処理を行ったWPA-硫酸水素カリウム(kHS)系複合体の高分解能観察を行い、非晶質連続層の形成によって導電率が向上するプロトン伝導機構モデルの妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・メカノケミカル法で合成したKDP-WAP系複合体が高い無加湿プロトン伝導性と優れた電気化学的耐久性を有していることを確認することができた。また、ミリング複合体を添加したPBI系MEAがリン酸添加量を低減した条件で、160℃無加湿でも優れた発電性能を示すことを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
・リン酸ドープ量を変化させ場合のコンポジット電解質の導電率と耐久性の変化を詳しく調べる。 ・中温無加湿条件における連続発電試験を実施している。
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