2012 Fiscal Year Annual Research Report
無機固体酸ナノ複合体と芳香族ポリマーをベースとする中温作動燃料電池電解質膜の創製
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23360286
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松田 厚範 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70295723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 剛 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10548192)
武藤 浩行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20293756)
小暮 敏博 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50282728)
大幸 裕介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70514404)
打越 哲郎 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (90354216)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 中温 / メカニカルミリング / プロトン / 無機有機 / コンポジット / ポリベンズイミダゾール / 発電特性 |
Research Abstract |
本研究では、「メカノケミカル法」を用いて、中温無加湿で高いプロトン伝導性を示す無機固体酸ナノ複合体粒子を合成し、これに芳香族ポリマーを融合させた新しい中温作動燃料電池用電解質膜を開発し、燃料電池の中温無加湿発電試験を行っている。また、得られた電解質膜のプロトンダイナミックス解析および界面構造観察を行っている。 本年度は特に、以下の重要な研究成果が得られた。 【無機固体酸ナノ複合体粒子と芳香族ポリマーからなるコンポジット膜電極複合体の開発】: 低リン酸ドープ電解質膜(PBIに対するリン酸ドープ量がモル比で約3倍)のシングルセル連続発電試験 (H2/O2,150 oC, 無加湿条件下)を行ったところ、測定開始から約100時間で 出力は400 mA cm-2に達した。また低リン酸ドープ率であるにも関わらず、300~400 mA cm-2の電流値を800時間以上維持することができた。無機固体酸複合体を導入することで低リン酸ドープ率でも導電率が向上し、得られたコンポジット膜が安定性を有することが確認された。スタックセルの構築についても検討を開始した。5-スタックセルでは、4.5V以上の開放端電圧を示し、ガスバリア性に優れることが確認された。 【プロトンダイナミックスと界面構造解析】: H-MAS-NMRの測定結果から、コンポジット膜中のリン酸は、無機固体酸と相互作用していることが推察された。また、ミリング処理時間を変えたWPA-KHSO4系複合体の高分解能観察を行い、導電率のとの対応から、非晶質化があまり進むと導電率は、むしろ低下することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コンポジット電解質膜の評価に加えて、長時間の連続発電特性評価を行っており、スタックセルの構築についても着手している。 学会発表、展示会などへの出展を行い、産学連携の取り組みも始まっている。 以上により、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)無機固体酸ナノ複合体粒子と芳香族ポリマーをベースとするコンポジット電解質膜の開発: リン酸ドープ量を低減したコンポジット膜の電気的、機械的、熱的特性を明らかにする。 (2)コンポジット電解質膜を用いた中温作動燃料電池用膜・電極複合体(MEA)試作: 電極(カーボン)/触媒(白金)/電解質からなる三相界面を最適化と膜・電極複合体(MEA)の電気化学評価を継続して行う。イオノマーの選択と白金触媒のナノ粒子・高比表面積化を検討する。膜評価装置を用いて、室温から200℃の作動温度範囲における発電の基礎データをさらに蓄積する。また、スタックセルの発電特性を評価する。 (3)プロトンダイナミックスと界面構造解析: プロトンNMR解析および表面・界面の高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行う。電極/触媒/電解質三相界面の構造解析とそのモデル化について検討を行う。
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