2012 Fiscal Year Annual Research Report
結晶磁気異方性に基づくゼオライト細孔の配向性制御と高度ガス分離用緻密配向膜の創製
Project/Area Number |
23360290
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 元秀 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80222305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打越 哲郎 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (90354216)
鈴木 達 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (50267407)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ゼオライト / 配向 / 磁場印加プロセス / ガス分離 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に得た知見に基づき、モルデナイト配向膜の作製ならびに配向性の制御、本研究で提案するプロセスの他のゼオライトへの適用性を明確にするために、モルデナイト結晶より異方性が大きいL型ゼオライトを用いた検討を主に実施した。以下に得られた研究成果の概要を記す。 ・モルデナイト粒子懸濁液を用いてスリップキャストを磁場中で行い、配向膜作製を試みたが、成形体作製時のように、モルデナイトの配向性制御には至らなかった。これに関して詳細に検討した結果、スリップキャストの初期段階では非常に強い毛細管吸引力が懸濁液に作用し、基板表面近傍で流速が急激に増加し乱流を生じるために配向組織をランダム化させ、配向膜作製が困難であったと考えられた。また、配向性制御をロットゲーリング法による評価結果を踏まえ検討したところ、完全配向体作製においては粒子形状と粒子の分散性が、磁場印加の大きさに加え、極めて重要な実験因子であることがわかった。 ・ゼオライトLに対して、モルデナイトと同様な検討を行い、その磁気異方性を検討した。その結果、ゼオライトLのc軸が磁化容易軸であることが明らかになった。その結果を基に、磁場中電気泳動堆積法にて、c軸配向性を有し、厚さ3ミクロン程度のゼオライトL前駆体膜を多孔質基板上に作製することに成功した。なおその製膜に際しては、ゼオライトLの磁気異方性を踏まえ、粒子泳動方向に沿って磁場を印加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表的なゼオライトであるモルデナイトに加え、ゼオライトLにおいても、磁気異方性を明らかにし、それらの配向体作製に成功したものの、スリップキャストの初期段階で生じる基板表面近傍での懸濁液の流れの影響で、膜化は困難な状態にある。膜化に関しては、電気泳動堆積法を用いると対応可能であることが検討で明らかになり、その展開性は明るい。しかし、直線的なゼオライト細孔がc軸に沿って構造内に存在するモルデナイトでは磁化容易軸はb軸で、モルデナイトのc軸配向膜を得るには回転磁場環境下での電気泳動堆積実験を行う必要がある。これらの現状を踏まえ、達成度はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの検討結果を踏まえ、さらにその検討を深化させるとともに、現在問題となっている点に関して検討を加える予定である。また、それとは別に、前駆体膜の水熱固化に関する検討を進めるとともにガス分離特性評価を行い、本研究で提案するプロセスで作製された膜の微細構造とガス分離特性の関係を明らかにする予定である。
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