2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360311
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木田 徹也 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70363421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島ノ江 憲剛 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (10274531)
渡邉 賢 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキトニクス研究拠点, NIMSポスドク研究員 (90552480)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ペロブスカイト / 酸素透過膜 / 酸素吸着 / 酸素拡散 / 混合導電体 / BaFeO3 |
Research Abstract |
酸素富化空気は省エネルギー、排ガス量の削減などの点で注目されており、医療分野や廃水処理といった幅広い分野でもその重要性が高まっている。混合導電性を示すペロブスカイト型酸化物を用いた空気からの酸素分離は、電極や外部回路を必要とせず、濃度勾配のみで簡便に分離できるため、省エネルギー性が高く環境に優しい酸素富化技術として期待されている。本研究では、申請者らが開発した化学的安定性に優れたFeベースの材料であるBa0.95La0.05FeO3-deltaを用いて、より実用性に優れる酸素透過膜の開発を目指した。 これまでに、酸素透過膜の表面構造によってその酸素透過能が大きく影響を受けることが明らかにされている。そこで本年度においては、種々の鉄系ペロブスカイト粒子を表面にコーティングして、その際の酸素透過膜の性能変化について詳細に調べた。その結果、 Ba0.95La0.05FeO3-delta(BLF)、Ba0.95Ca0.05FeO3-delta(BCF)、Ba0.3Sr0.7FeO3-delta(BSF)粒子を合成して、それをBLF膜の酸素放出層として膜表面に形成すれば、酸素透過能が大きく向上する可能性が示された。特に、BSFを膜表面の積層が最も有効であることを見出すことができた。 これらの材料を用いて酸素透過膜を作製したところ、BSF>BLF>BCFの順に高い透過率を示した。したがって、酸素放出層としては、材料自体が高い酸素透過性を有するものを酸素放出層として透過膜に接合すべきであることがわかった。さらに、作製した酸素放出層の微細構造をSEMにより調べたところ、表面に10ミクロン以上の大きな孔を有していることが確認された。酸素放出膜の厚みを大きく増加させた場合には、酸素透過能が劣化したため、SEMで確認されたような充分な大きさの酸素拡散孔が必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はBa0.95La0.05FeO3-delta酸素透過膜用の新しい酸素放出層材料としてBa0.3Sr0.7FeO3-delta(BSF)を見出すことができた。この材料の組成と粒径をうまく制御することで、更なる酸素透過速度の改善が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の基本方策としては、酸素透過に影響する基礎的要因を明らかにして、その酸素透過性能の大幅な向上を目指すことである。酸素放出層として有望な材料について、酸素吸着及び脱着特性、酸素欠損量、粒子径などの物性を詳細に調べ、それらと酸素透過能との相関性を明らかにする。また、酸素同位体を用いたSIMS測定により透過膜何の酸素拡散挙動を明らかにし、膜の表面構造や厚みとの相関性を調べる。最終的には、ポーラス体に緻密膜を積層させた積層構造型の透過膜を作製し、以上の知見によって得られた最適な膜厚と最適な酸素放出層を使用して、透過能の大幅向上を目指す。
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Research Products
(2 results)