2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工オパール薄膜によるスマート材料(構造色~フォトニック結晶)
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23360313
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
不動寺 浩 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主幹研究員 (20354160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 勉 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, グループリーダー (40354378)
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Keywords | 構造色 / フォトニック結晶 / コロイド結晶 / 複合材料・物性 / ブラッグ回折 / 歪み可視化 / オパール |
Research Abstract |
工業材料として応用可能なオパール結晶の材料設計及び製造プロセスの基本技術を確立する。前者についてそれぞれの適用例に応じた材料設計を行い、目標とする材料機能が発現することを検証した。 ・環境センシング:微量成分の検出には構造色の変化ではなく、反射スペクトルのブラッグ回折ピークのシフトに着目した。環境汚染物質としてベンゼン(水への溶解度:1.8g/L@15℃)をモデルに想定し、0.18mg/mlオーダーの検出が確認できた。また、シリコンウェファー上に形成したオパール薄膜が測定によって劣化することなく繰り返し利用可能であることが分かった。 ・歪み分布可視化:黒PETシート上にオパール薄膜をコーティングし、このシートを塑性変形のモデル金属であるアルミニウム試験片に貼り付ける一連の技術開発に成功した。広島大学の連携研究者及び土木研究所の共同研究者と協力し、一軸引張り試験による金属の塑性変形を構造色変化として目視で視認できることを実証した(米国学会で口頭発表)。 ・1次元フォトニック結晶:研究協力者(Dr.T.Kohoutek)との共同研究としてカルコゲナイトガラスのインバースオパール構造を形成し、その反射スペクトルと研究分担者によるフォトニックバンド計算とを比較し、屈折率の高いコントラストに起因するワイドギャップの形成は1次元フォトニック結晶としての特性向上に寄与する。 一方、製造プロセスの基礎研究の成果として、オパール結晶薄膜の高品質化:オイル被覆下での粒子濃度の濃縮化によるアルダー相転移による非コロイド結晶からオパール結晶への成長過程を詳細に観察した。イオン交換樹脂で脱塩することで、非最密コロイド結晶の界面領域の幅が脱塩前の0.4mmから数cmまで拡大した。結晶化状態をフィードバック制御によってオパール薄膜を連続的に成膜するためには影響を与えるため、過剰な脱塩は結晶成長のフィードバック制御に悪影響を与えることが分かった(国内学会で口頭発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では(1)オパール構造と光学結晶のデザイン、(2)オパール結晶薄膜の高品質化、(3)環境センシング、(4)歪み分布可視化、(5)1次元フォトニック結晶の5課題を実施している。(2)~(5)は計画通り、(4)環境センシングについては、初期データが出初めており、H24年3月に米国の研究協力者と打ち合わせを行い、当初の計画を前倒して計画を推進している。一方、(1)については当初計画よりやや遅れ気味である。研究全体の計画としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
全体としておおむね順調に進展していおり、H24年度は研究計画の大きな修正は行わない。ただ、H23年度は当初計画よりやや遅れ気味である(1)オパール構造と光学結晶のデザインについては、H24年度前半に実験及び計算(研究分担者)を集中して行うことで対応したい。また、H24年度も引き続き(4)歪み分布可視化については連携研究者(広島大学)及び研究協力者(土木研究所)と、(3)環境センシングについては研究協力者(米国、イリノイ大学及びワシントン大学)と緊密に連携し基礎研究を推進する。
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Research Products
(15 results)