2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己分散型クラスター・ナノ粒子による高耐久低温燃焼触媒の設計
Project/Area Number |
23360354
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
薩摩 篤 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00215758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 順也 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50611597)
清水 研一 北海道大学, 触媒化学研究センター, 准教授 (60324000)
沢辺 恭一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80235473)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | クラスター触媒 / 自動車触媒 / 自己組織化 / セリア / Pd / Ru / 長寿命触媒 / in-situ分析 |
Research Abstract |
本研究では担持金属触媒において自己分散現象を解明することにより、金属ナノ粒子・ナノクラスターの自己組織化を制御し、長寿命・低温活性触媒設計のための戦略を提案する。具体的には、(1) 自己分散現象の機構を解明するため、酸化物担体と金属の物性に対して相関性を明らかにして制御の方法を提案し、(2) クラスター・ナノ粒子触媒の低温燃焼触媒への応用を目指したものである。本年度は (1)Ru/CeO2をモデル触媒とした自己分散現象の機構解明、と、(2)担持Pd触媒をモデルとした低温燃焼触媒設計のための方策について検討した。成果は以下の通りである。(1)Ru粉末とCeO2粉末を物理混合し、700℃、空気中で焼成するだけで30 nmのRu粒子が約2nmのRuナノ粒子となってCeO2表面に担持されることを見いだした。この現象は酸素が共存しないと起こらず、またCeO2担体だけに見られた。Ru金属が担体CeO2を触媒として酸化されることが必須である。またin-situ RamanスペクトルにはRu-O-Ceに帰属される散乱バンドが観察された。金属粒子の酸化と、担体との化学結合の形成が自己分散過程における必須要素であることが示された。(2)担持Pd触媒上でのCO酸化反応において低温での燃焼活性を支配する因子を系統的に検討した。PdはCeO2, TiO2を担体としたしたとき、Al2O3やZrO2と比べて著しく高いCO酸化活性を示す。この理由は(a)担持したPd粒子が比較的低温で還元されて金属状態のPd粒子がこれら担体上で安定であることと、(b)低温で金属表面が吸着COで被毒される状況でも酸化還元能を持つCeO2, TiO2からの酸素供給により低温でも酸化反応が進行することを明らかにした。今後は(2)の知見を生かして、更に低温での燃焼活性が高い触媒を開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初、本年度の目標を「Ru/CeO2, Rh/CeO2における担持金属の再分散現象とその機構、さらに低温燃焼活性の制御因子を検討する。Ag以外の金属成分も含めて研究対象とすることで、自己分散現象と低温活性の制御においてより一般的な法則を見いだす。」とした。Rh/CeO2については活性種が金属RhだけでなくCeO2に固溶したRhイオンも作用する特殊な例であったが、その他は計画通りRu/CeO2の再分散現象機構の解明と、Pd触媒における低温燃焼活性の制御因子を明らかにし、当初の目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は低温燃焼触媒活性を向上させるための触媒設計を重点項目とする。近年普及が著しい低燃費車では排気ガス温度が低下する傾向があり、低温燃焼活性の要求レベルが上がっている。これに応えるため、CeO2の低温での酸素吸蔵放出能を向上させることにより、100℃以下での燃焼触媒活性の向上を実現する。具体的には酸素吸蔵放出において、速度に優れるTiO2と量に優れるCeO2の長所をハイブリッドさせた、新しい担体を提案する。具体的には固溶体、あるいはTiO2層で表面をコートしたCeO2担体を設計し、組成、調製法を工夫することにより低温燃焼活性の向上を目指す。得られた触媒はin-situ Raman, TG/DTA, in-situ IR, in-situ UV-Vis, XRD, XAFS, TEM等を用いて構造解析し、活性構造相関を明らかにする。
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Research Products
(19 results)