2011 Fiscal Year Annual Research Report
微生物を介した大腸炎寛解プロセスのシステム論的制御
Project/Area Number |
23360373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Biofunction/Bioprocess
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
常田 聡 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30281645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加川 友己 早稲田大学, ナノ理工学研究機構, 次席研究員 (90409649)
大坂 利文 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (70514470)
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Keywords | 腸内細菌 / 代謝産物 / 大腸炎 / メタボローム / 数理モデル |
Research Abstract |
腸管炎症に伴う環境変化および細菌叢の変化は、相互に関係し合う連続的なシステムである。このような複雑な系に対しては、要素還元的アプローチではなく、実験とシミュレーションを併用したシステム論的アプローチが有効である。本研究の最終目標は、「腸内環境-細菌群集-腸炎の病態」の三者のダイナミクスの数理的な解明を目指すことである。しかしながら、「腸内環境-細菌群集」という二者間の数理モデルも確率されていないのが現状である。平成23年度は、近年急速な進展を遂げている1H-NMK(nuclear magnetic resonance)を用いたメタボローム解析および次世代シーケンサー(Roche 454 GS-FLX)を利用して、腸管生態系における代謝産物および細菌叢についての網羅的な情報の取得を試みた。本年度は、腸内環境と細菌群集のプロファイルが大きく異なることが予想される「健常マウス」および「異なる腸炎の病態を呈するマウス」由来の糞便を解析試料として用いた。代謝産物および細菌叢の解析結果に対して主成分解析を行うことで、腸炎の病態に影響を与える代謝産物(糖類、アミノ酸、短鎖脂肪酸など)および細菌(Bacteroides, Escherichia, Lactobacillus, Proteusなど)をスクリーニングすることができた。これらは、数理モデルを構築する際に重要な環境因子となる。今後は、この網羅的情報を集約・統合することで、「腸内環境-細菌群集」数理モデルを構築を目指していく。また、これらの環境因子(細菌叢、代謝物)と病態の因果関係を明確にすることも今後の課題として挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタ情報からの腸的環境因動のスクリーニングに関する方法論を確立するために時間を要したが、数理モデルを構築する上で着月すべき環境因子は見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に確立した腸内環境因子のスクリーニングに関する方法論をもとに、正常マウスの腸管を胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸とセグメント化し、各セグメントの腸管内容物および細菌群集の網羅的なデータを収集する。そのデータを基に、消化管を連続多段バイオリアクターと仮想して、各スナッブショットから数理モデルを構築するさらに、腸炎の寛解に関わる宿主-細菌の相互作用こ関する実験的情報も集約・再構成させながら、腸炎の寛解システム全体を俯瞰するシミュレーターの完成を目指していく。
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Research Products
(4 results)