2011 Fiscal Year Annual Research Report
平衡/非平衡プラズマの併用による超音速流中での着火・燃焼促進
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23360375
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝田 謙一 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80282101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
升谷 五郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20271869)
河内 俊憲 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40415922)
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Keywords | 燃焼 / 着火 / プラズマ / スクラムジェット / DBD |
Research Abstract |
今年度は、非平衡プラズマを生成するDielectric Barrier Discharge(DBD:誘電体バリア放電)デバイスと平衡プラズマを噴射するPlasma Jet(PJ:プラズマジェット)トーチをマッハ数2の超音速流路下壁面に直線状に配置した平衡/非平衡プラズマ点火器の構築に成功し、それら2種類のプラズマを超音速流中で同時に発生させることに成功した。さらに、燃料である水素をそれら点火器の上流から噴射し、着火・燃焼実験を行い、平衡プラズマであるPJのみを用いた場合と平衡/非平衡プラズマを併用した場合とで着火・燃焼性能を比較した。実験結果において、火炎が比較的不安定な場合、PJとDBDプラズマの重量により、燃焼量が増大し、エンジン推力に直結する燃焼器内壁圧が上昇することを示した。これは非平衡プラズマが燃焼促進に寄与したことを証明する結果であり、学術的に重要な結果である。また、超音速流における平衡/非平衡プラズマを併用した着火システムの開発は世界的に見ても初めてのものであり、燃焼研究者に大きなインパクトを与える成果である。さらにDBDプラズマの生成に要する投入エネルギー量が高々10W程度であり、PJの生成に数kWを要する平衡プラズマに比べて極めて小さいエネルギー量であること、DBDプラズマの分光分析により主要なプラズマ成分が励起窒素分子や窒素イオンであり、酸素原子等の単原子ラジカルはほとんど含まれていないこと、DBDの生成が超音速流中の衝撃波や膨張波等の流れ構造には全く影響を及ぼさないことなどを明らかにした。これらの知見は、非平衡プラズマの燃焼促進メカニズムの解明に重要な手掛かりとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であった平衡/非平衡プラズマを併用した着火システムの開発に成功し、さらにその着火・燃焼性能が従来の平衡プラズマ点火器よりも優れていることを示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに開発した平衡/非平衡プラズマ併用着火システムを用いて、炭化水素系燃料に対しても着火・燃焼実験を実施し、その有用性を調べる。同時に、理論的研究により、非平衡プラズマによる燃焼促進のメカニズムの解明を行う。特に非平衡プラズマに含まれるオゾンの効果について着目し、その着火促進効果等の見積もりを行う。
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Research Products
(4 results)