2012 Fiscal Year Annual Research Report
火星探査飛行機用低レイノルズ数、高マッハ数プロペラの研究
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23360381
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
砂田 茂 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70343415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 聡 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40332150)
米澤 宏一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00362640)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 火星飛行機 / プロペラ / 低レイノルズ数 / 高マッハ数 |
Research Abstract |
アドキンス・リーベックの方法を用いて設計した複数のプロペラについて、大阪大学の風洞、宇宙科学研究所の惑星大気風洞で性能試験を行った。(アドキンス・リーベックの方法は、火星飛行機用プロペラほど低いレイノルズ数での設計に使用されてきておらず、その適用の有効性は明らかにされていない。)前者では火星より高いレイノルズ数での測定を行い、後者では風洞内の圧力を下げ火星でのレイノルズ数(1000のオーダのレイノルズ数)で測定を行った。宇宙科学研究所の惑星大気風洞は近年、圧力を下げての測定に使用していなかったため、その測定精度チェックのため前者の測定も行った。両者での測定結果に矛盾は見当たらず、惑星大気風洞での性能試験の有効性が確認できた。あわせてCFDによる解析も行った。設計値、測定値、CFDによる計算値の一致は良好で、アドキンス・リーベックの方法が火星飛行機用プロペラの設計に使用可能であることが分かった。 アドキンス・リーベックの方法が翼型性能データを利用していることからも明らかな様に、高い効率を持つ火星飛行機用プロペラを設計するためには、低いレイノルズ数で高い揚抗比を持つ翼型を選択することが必須である。そこで、火星でのレイノルズ数、すなわち1000のオーダのレイノルズ数で高い揚抗比を持つ翼型をCFDを用いて探索した。高い揚抗比が期待された翼型について、その性能を東北大学浅井圭介教授の持つ火星大気風洞において確認した。さらに、この翼型を持つプロペラ①を試作した。また、CFD解析によって、翼の後退角が推力を大きくすることが分かった。大きな推力はプロペラのコンパクト化を可能にする。火星飛行機はカプセルに収納し火星まで運ばれるために、コンパクト化が必要とされる可能性がある。CFDによって、大きな推力を発生すると予想された後退角を持つプロペラ②を試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
火星飛行機用プロペラの設計方法が確立しつつある(成果1)。平成25年度に残された風洞試験によって、本設計方法が有効であると判断できる状況である。さらに、プロペラの効率を高める翼型形状の提案に成功し、後退角がプロペラのコンパクト化を可能にすることを示した(成果2)。当初の計画では(成果1)を予定していたが、(成果2)は予定を超える成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成24年度に試作した2種類のプロペラの性能を宇宙科学研究所の惑星環境風洞で測定し、その性能を確認する。設計時に予定された性能が確認された場合、火星でのレイノルズ数領域で作動するプロペラの設計方法の有効性が示されたと判断する。また提案した低レイノルズ数翼型をプロペラに取り入れることで高効率化が図れること、後退角をつけることでコンパクト化が可能になることも確認できる。追加の研究として、(A)非巡航時のプロペラ性能の評価。(B)主翼とプロペラの干渉について、風洞試験及びCFD解析。(C)プロペラのカプセルへの収納方法の検討。を行う。
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Research Products
(6 results)