2011 Fiscal Year Annual Research Report
高速点火レーザー核融合に向けた高速電子エネルギー分布の時間発展計測
Project/Area Number |
23360412
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Field |
Nuclear fusion studies
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
羽原 英明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60397734)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
籔内 俊毅 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20397772)
|
Keywords | 慣性核融合 / 高速点火 / 高エネルギー電子 / エネルギー伝搬 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高速点火方式レーザー核融合におけるプラズマ加熱の重要な課題である、高強度レーザーと物質との相互作用により生成する相対論的高エネルギー密度電子流の空間・時間発展を、物質内で荷電粒子が放出するチェレンコフ光による"その場"計測を行うことある。その際、生成される高速電子の放出角度分布が、データ解析に影響することが判明したため、その影響を評価するために、同時に多方向から高速電子エネルギー分布を計測できるマルチチャンネル電子スペクトロメータを開発した。この計測器をフランス・エコールポリテクのレーザー施設において使用し、放出角度のレーザー強度依存性、プラズマ密度依存性等を計測する予定であったが、その実験はレーザー装置の不調により来年度9月に延期となった。またターゲット材質を変えることにより、チェレンコフ放射で計測できる高速電子のエネルギー下限を変更することが出来るが、レーザーと相互作用して生成する高速電子の特性が材料の影響を受ける可能性を排除するため、表面に厚さ10ミクロン以上の金属コートを施す必要がある。しかし金属箔貼付けでは表面精度が出ないため、コーティング用装置を整備し、ターゲットを高温に保ち続けるための赤外線導入装置を購入し、コーティングを開始した。実験はインド側のレーザー装置のトラブル等による遅れにより、来年度(H24)6月及び11月に延期となったが、それに向けた準備はほぼ完了した。さらに、数10keVの低エネルギー電子を計測するため、シリコン結晶を用いることを考案し、ターゲットや計測器等の実験設計を終えることが出来、来年度実験を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験で得られた結果を解析する際に必要となる高速電子生成時の角度分布の計測準備を終えることが出来た。またチェレンコフ光計測に関するターゲットに関しでもある程度自前で作成できる環境を整備し、来年度には遅れていた共同研究先のレーザー装置が使用できる見込みのため、すぐに実験に使用できる状態と成っている。さらに新たに赤外線領域のチェレンコフ光計測を発案し、より低エネルギーの高速電子を計測することで、広いエネルギー範囲の高速電子分布の計測が可能になり、生成される高速電子の変換効率を従来よりも高精度で求めることが期待できる。曜
|
Strategy for Future Research Activity |
赤外領域のチェレンコフ放射計測により数十キロ電子ボルトの運動エネルギーの高速電子が観測可能となる。このエネルギー帯というのが、高速電子を計測するのに広く用いられている銅平板ターゲットからの特性X線計測法においてX線放出断面積が最大となる電子のエネルギー帯にほぼ一致するため、結果を直接比較することが可能となる。特性X線計測法では以前からターゲット裏面にできる静電場の影響による電子数の重複カウントが問題となっているが、本手法との比較により、その影響を定量的に明らかにすることが可能となる。そのため引き続きプリズムターゲットを用いた高速電子のその場計測に加え、特性X線検出器を構築し、高速電子により引き起こされる物理現象の解明を目指す。
|
Research Products
(11 results)