2013 Fiscal Year Annual Research Report
高速点火レーザー核融合に向けた高速電子エネルギー分布の時間発展計測
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23360412
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
羽原 英明 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60397734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪内 俊毅 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20397772)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 慣性核融合 / 高速点火 / 高エネルギー電子 / エネルギー伝搬 |
Research Abstract |
前年度に得られたシリコン平板を用いたチェレンコフ光計測の実験結果の解析を行ったが、チェレンコフ光とターゲット前面で発光する赤外光との分別が困難であるため、それを分離するための時間ゲートをかけるMCPを研究協力者に購入いただき、H26年度継続して実験を行うことを双方で合意した。また特に低エネルギー成分の高速電子流のエネルギー分布を計測する目的でプリズム型シリコンターゲットを用いる予定であったが、プリズム状への加工が難しいことから、屈折率が4とシリコンより高いゲルマニウムの市販プリズムを用いることとした。 またチェレンコフ光と同じ電子エネルギー領域を計測するための特性X線計測を試み、そのためのX線イメージ結像器を購入する予定であったが、これも研究協力者のほうで準備いただいたため、別財源でコート装置、及び本研究費でメッキ用の電源などを購入した。 さらにチェレンコフ光の発光強度を向上させるため、ターゲット表面への単純なコートではなく、ナノポーラスやワイヤなどナノ構造を持ったコーティングをターゲット表面に施し、そこに高強度レーザーを照射したところ、生成される高エネルギー電子が20倍、裏面で加速される高エネルギーイオンが数倍上昇するという顕著な結果が得られ、さらに解析の結果その構造依存性の物理的なメカニズムを明らかにすることに成功したため、現在論文を準備中である。 また大阪大学のLFEXレーザーを用い、コーンワイヤターゲットを用いた実験を行い、銅ワイヤからのKa線計測から高速電子のエネルギー分布を推測したところ、平均エネルギー数MeVとなり燃料コアの加熱に最適なエネルギー範囲であることが分かったが、さらにワイヤの周りに爆縮プラズマを付与したところ、電子がプラズマ中に飛散し、燃料までの到達フラックスが大幅に減少することが確認された。本結果は国際会議で発表し、また論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリコンプリズムターゲットは任意の形状での作成ができなかったが、それよりも屈折率の高いゲルマニウムプリズムターゲットを購入することで当初の目的を達成することが可能になった。このプリズムにコートを施し、底面を砂目上に加工することでH26年度の実験に供する予定である。 またチェレンコフ光の発光強度を向上させるため、ターゲット表面への単純なコートではなくナノ構造を持った薄い層をメッキしたターゲットに高強度レーザーを照射したところ、高エネルギー電子の生成量が単純なコートに比べ20倍以上増加し、また裏面から生成する高エネルギー陽子量が数倍増加すると言った結果が得られた。この結果を2次元粒子シミュレーションを用いて解析を行い、構造内部で電界集中によりレーザーエネルギーの吸収と高速電子の生成効率が大幅に上昇することが明らかになり、さらに最適な構造サイズがあることを明らかにした。これはチェレンコフ光計測にとってだけではなく、高エネルギー密度科学にとって重要な知見である。現在関連した2つの論文を執筆し、共著者に確認後投稿する予定である。 また赤外チェレンコフ光計測を用いて比較・校正するためのX線計測に関する大型レーザー装置実験を実施し、現在広く用いられている手法で高速電子のエネルギー分布を推測することに成功した。更に本実験ではターゲットの周りに爆縮プラズマを付与したところ実験結果に大きな差が現れ、レーザー進行方向絵の粒子フラックスが大幅に減少するという結果が得られた。これは最近の論文で提案されている誘電率構造による高エネルギー電子のガイディングが効果がないことを明らかにしたことになり、外部磁場によるガイディングが必要なことを明らかにする結果である。本結果は国際会議で2回発表を行い好評を得、さらに著名論文誌に投稿するための準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は最終年度であるが、積み残しである赤外チェレンコフ光計測のためのゲルマニウムプリズムターゲットを用いた実験を行い、これまでのまとめとする予定である。実験は引き続き研究協力者であるインド・タタ基礎科学研究所のG.R. Kumar教授の実験施設で行う。また基礎研究としてのナノ構造の高強度レーザーの相互作用を積極的に推進し、電界集中効果だけでなく、表面プラズモン共鳴効果などによる吸収率向上実験なども行う予定である。 また本研究課題による成果を含めた研究結果を、9月に国際会議の招待講演で報告し、さらにそれらの結果を3つの論文として執筆する予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Effect of defocusing on picosecond laser-coupling into gold cones2014
Author(s)
I. A. Bush, A. G. R. Thomas, L. Gartside, S. Sarfraz, E. Wagenaars, J. S. Green, M. Notley, H. Lowe, C. Spindloe, T. Winstone, A. P. L. Robinson, R. Clarke, T. Ma, T. Yabuuchi, M. Wei, F. N. Beg, R. B. Stephens, A. MacPhee, A. J. MacKinnon, M. H. Key, W. Nazarov, M. Sherlock and J. Pasley
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Journal Title
Physics of Plasmas
Volume: 21
Pages: 012702
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Enhanced energy coupling by using structured nano-wire targets2013
Author(s)
Habara, H. and Mishima, Y. and Nakanii, N. and Honda, S. and Katayama, M. and Gremillet, L. and Willingale, L. and Maksimchuk, A. and Krushelnick, K. and Tanaka, K.A.
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Journal Title
EPJ Web of Conferences
Volume: 59
Pages: 17007
DOI
Peer Reviewed
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