2012 Fiscal Year Annual Research Report
地層処分粘土緩衝材中の物質移行挙動とそれに律速され得る鉄腐食反応に関する研究
Project/Area Number |
23360417
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小崎 完 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60234746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 智 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40237110)
香西 直文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (80354877)
渡辺 直子 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20624711)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 放射性廃棄物処分 / ベントナイト / オーバーパック / 腐食 / 物質移行 |
Research Abstract |
本研究では、高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価のための基礎研究として、人工バリアである粘土緩衝材中の鉄材料の腐食挙動を電気化学的手法で検討するとともに、鉄腐食生成物によって変質した粘土緩衝材の透水性能ならびに放射性核種の拡散・収着能を明らかにすることを目的としている。 研究2年目となる平成24年度は、平成23年度に引き続き、アクリル製セル中で粘土試料に鉄電極を接触させた実験体系に対して交番電流を印加し、鉄電極の腐食を加速させる実験を行い、鉄の平均腐食速度およびイオンの移行挙動に及ぼす通電時間の影響などを調べるとともに、それらの移行挙動を数値計算によって模擬した。実験の結果、通事千時間が長くなるにつれて鉄の平均腐食速度は低下する傾向にあることが明らかになった。 一方、ベントナイト中の鉄の腐食によって生じると考えられているFe(II)型モンモリロナイト試料の透水係数を、試料の酸化が起こらないArガス雰囲気のグローブボックス中で測定した。透水試験では、実験室で調製したFe型試料に0.5M FeCl2溶液、0.1 M FeCl2溶液、脱イオン水、0.5 M FeCl2溶液の順に通水し、塩濃度に応じて透水係数が変化することを確認した。また、Na型、Ca型、Fe(III)型のモンモリロナイトと同様に、Fe(II)型モンモリロナイトでも有効モンモリロナイト密度に対して透水係数が指数関数的に減少していること、その透水係数は低乾燥密度において価数の同じ陽イオンを層間に有しているCa型とも異なることを明らかにした。さらに、これらはモンモリロナイト試料の膨潤量とも関連づけられることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は福島第一原子力発電所の事故に関連した緊急の用務などに多くの時間を費やしたため、やや遅れている状態であったが、今年度はその遅れを取り戻しつつあり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であることから、研究の取り纏めに力を尽くすとともに、研究成果の発表を積極的に行う予定である。
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