2012 Fiscal Year Annual Research Report
高速炉構造材の熱時効・照射による強度劣化機構の実験的研究
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23360426
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
福元 謙一 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (30261506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野際 公宏 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 研究員 (80465989)
鬼塚 貴志 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 研究員 (90422336)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 照射硬化 / TEM『その場』観察 / ボイド / 転位挙動 / 交差すべり |
Research Abstract |
本研究では、材料強化評価手法として、「電子顕微鏡内『その場』観察法(以下、TEM内引張「その場」観察法)」により、熱時効及び照射により生じる高速炉構造材料の組織要素の硬化因子パラメータの定量的評価を行い、熱時効および損傷組織発達に伴う高温強度特性変化を、機構論的かつ現象論に即したモデルを作成して予測評価することを目的としている。 平成24年度はSUS316FR鋼に対する転位-照射欠陥相互作用について研究を行った。京大エネルギー理工学研究所のDuET照射試験装置にて6.4MeV Fe+イオンを773Kにて、ピーク位置損傷量1dpaで照射した。照射後電子顕微鏡内で引張試験を常温で行い試料薄膜内の転位運動の動的「その場」観察を行った。この照射条件では転位ループが形成された。TEM内引張試験により欠陥集合体が掃破されて欠陥が集合しない帯状の組織が形成され、その中を転位が運動するいわゆる転位チャネリング運動が観察された。しかしながら当初目的としていた運動転位と単一欠陥集合体の相互作用の直接観察はなされなかった。平成25年度も継続して研究を行う。 磁性体である純鉄に対するTEM内引張「その場」観察法を確立するため、電解研磨窓枠法を2回実施する事によって50μm板厚材に薄膜化する手法を開発した。この結果非照射材の純鉄において運動転位の観察が可能となり観察手法を確立した。平成25年度は純鉄に対する転位-照射欠陥(ボイド)相互作用について研究を行い、高クロム鋼や二相ステンレス鋼などの各種磁性体に対する転位-照射欠陥相互作用について研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バナジウム合金におけるTEM内引張その場観察による研究成果は順調であり、高速炉構造材料であるSUS316FR鋼について研究に着手し成果を上げつつある。高クロム鋼などの磁性体材料に対する実験手法も純鉄を用いた実験で確立し、最終年度での研究目的達成にめどがついた。計算機試験などについても研究に着手し、研究目標達成が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
純鉄による転位-ボイド相互作用について研究成果を得た後、高クロム鋼における転位-照射欠陥相互作用について研究を進め高速炉構造材料の強度劣化機構に対する機構論的評価(照射硬化量の定量評価)を行う。動力学的分子モデル計算機実験によるBCC系結晶での転位-照射欠陥相互作用について実験と計算機の比較を通してミクロ構造から転位-照射欠陥相互作用について検討を行う。
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Research Products
(5 results)