2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23370008
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渡辺 一哉 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40393467)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 共生 / 微生物生態学 |
Research Abstract |
共生菌とメタン菌の共生関係を調査する過程で、微生物ナノワイヤーの観察や導電性ナノ粒子の添加実験を行った。その結果、共生菌とメタン菌の間の種間電子伝達が、酸化鉄の導電性ナノ粒子を添加することにより促進され、メタン発酵が効率化されることを発見した。この際に、非導電性のナノ粒子を添加してもメタン発酵の促進は観察されなかった。これらの結果は、共生菌とメタン菌の間に電流が流れ、これによりメタン発酵が可能になることを示している。今まで、ナノワイヤーと考えられている鞭毛タンパク質とメタン菌の細胞表面タンパク質の結合についてのみ解析してきたが、今後は酸化鉄と共生菌やメタン菌の表面タンパク質の結合についても検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の検討を継続した実験については大きな進捗が見られなかったが、酸化鉄を介した共生的メタン発酵という新しい現象を発見し、本プロジェクトに新たな進路が見いだされた。このような意味で、研究の進捗は十分であったと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
共生菌やメタン菌の細胞表面タンパク質どうしの結合についての研究を継続するとともに、これら微生物の細胞表面タンパク質が導電性物質(酸化鉄やグラファイトなど)とどのように結合するかを調べる必要性も生じてきた。今後は、より広い視点の基に、細胞表面タンパク質の結合能の解析を行っていく予定である。また、細胞表面構造を解析するために、電子顕微鏡観察を行っていく予定である。
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