2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23370024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 裕一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50183447)
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Keywords | 光合成 / 光化学系 / 分子集合 / サブユニット / クロロフィル / カロテノイド / キノン / 緑化 |
Research Abstract |
光合成電子伝達系で機能する光化学系は多数のサブユニットとコファクターから構成されるクロロフィルタンパク質複合体で、集光機能をもつアンテナ複合体を結合して超分子複合体を形成する。この複合体の生合成の分子機構は不明な点が多く残されているが、多数の成分が段階的に分子集合していくモデルが考えられている。本研究ではこの段階的分子集合過程を詳細に解析するため、黄化細胞の緑化過程を利用した。緑藻クラミドモナスは暗所でもクロロフィルを合成するが、y-1変異株は暗所ではクロロフィル合成活性を欠損するため黄化細胞となる。しかし、明所ではクロロフィル合成が開始し、光化学系複合体やアンテナ複合体の同期した生合成を観察することができる。本研究では、この緑化過程中の光化学系およびアンテナ複合体の構成サブユニットの蓄積状況をウェスタン分析により解析した。また、クロロフィル、カロテノイド、キノンなどのコファクターを緑化中に細胞から有機溶媒で抽出し、逆相クロマトグラフィーで分析した。その結果、緑化に伴いクロロフィルの蓄積とクロロフィル結合サブユニットの蓄積が平行して起こることが示された。また、カロテンは黄化細胞には多く蓄積し、緑化に伴い減少するに伴いキサントフィルが増加した。一部のキサントフィルはカロテノイドから変換されて合成されたと考えられる。また、緑化過程の細胞からチラコイド膜を単離し、さらに界面活性剤で可溶化しクロロフィルタンパク質を分離すると、光化学系2は極めて短時間にサブユニットの分子集合が完了することが分かった。一方、光化学系1は緑化の初期には分子集合中間体が多く蓄積し、分子集合速度は光化学系2複合体のそれよりかなり遅いことが分かった。今後は分子集合中間体のサブユニットとコファクター成分の詳細を解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緑藻クラミドモナスy-1変異株を暗所で生育させて得た黄化細胞に光照射して緑化させ、光化学系複合体やアンテナ複合体の生合成過程を追跡する実験系を確立した。従って、次年度以降の光化学系複合体の段階的分子集合の解明を進める準備が終了し、すでにいくつかの新知見が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
緑藻クラミドモナスy-1変異株の緑化過程を解析することにより、光化学系複合体とアンテナ複合体の分子集合中間体を同定し、そのサブユニット組成をウェスタンブロッティングで、色素組成を逆相クロマトグラフィーで解析していく。また、クラミドモナスのアンテナ複合体の変異株の分析をすることにより、光化学系複合体へアンテナ複合体がどのように分子集合していくかについての知見も得る。
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Research Products
(8 results)