2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23370026
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
杉本 慶子 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能研究ユニット, ユニットリーダー (30455349)
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Keywords | 細胞増殖 / 細胞分化 / 翻訳後修飾 / SUMO化 / 植物メリステム / シロイヌナズナ / 細胞周期 / プロテオーム |
Research Abstract |
植物のメリステム領域では細胞が一定期間増殖した後、特定の細胞に分化することが知られている。このため、植物が継続的に生長を行うためには、増殖と分化をバランスよく協調的に制御する必要があるが、そのメカニズムはほとんどわかっていない。我々はHIGH PLOIDY 1,2,3,(HPY1,HPY2,HPY3)遺伝子の解析を通じて、メリステムにおける細胞増殖の維持に関わる制御機構の解明を目指している。hpy変異体は細胞の増殖が著しく低下し、メリステムが小さくなることが以前の我々の研究より明らかとなっていた。そこで、各HPY遺伝子のプロモーター領域にGUS遺伝子を連結し、発現領域を調べたところ、いずれの遺伝子もメリステム領域で強く発現することがわかった。この結果は、変異体の表現型とも一致することから、HPY遺伝子がメリステム領域において細胞増殖を維持することに必須であることが示された。これまでの研究からHPY2は核に局在することを明らかにしてきた。同様にHPY1およびHPY3の局在を調べるために、それぞれのゲノム配列にGFPを挿入することで細胞内局在を観察したところ、HPY1は主に細胞質に局在したのに対し、HPY3はプラスチドと思われる構造体に局在することがわかった。HPY2はその構造からSUMOE3 ligaseであることが示唆されていたが、我々はin vitroアッセイによってその活性を証明した。そこで、今年度はHPY2のターゲット因子を網羅的に単離することでSUMO化とメリステムの維持機構の関係を明らかにすることを目指し、植物からの最適なSUMO化タンパク質の抽出方法を検討した。さらに得られたターゲットのSUMO化状態をin vitroアッセイを用いて簡便に確認する方法を開発した。すでにいくつかの候補タンパク質はこの新たに開発した方法を用いることでSUMO化の有無を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
SUMO化ターゲットタンパク質の網羅的解析に関しては、既に植物体からの効率的なSUMO化タンパク質の抽出方法を構築しており、さらにin vitroでのSUMO化の検出も可能となっていることから、当初より早い段階での新規SUMO化ターゲットの同定が行える状態にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
SUMO化のターゲットは植物ではまだほとんど報告がないが、すでに我々は新たなターゲット候補を同定することに成功している。今後は今年度構築した網羅的な抽出方法をさらに改良し、植物のメリステム維持に関与するSUMO化ターゲットを明らかにしていく。得られたターゲット候補タンパク質に関してはアミノ酸置換などを行うことで、SUMO化が起こらないタンパク質を作り出し、植物体でのSUMO化の生理的意義にも迫っていく予定である。HPY1とHPY3に関しても、その発現場所や局在場所が明らかとなり、メリステムで機能することがより明白となった。今後は、それぞれの変異体のさらなる解析も合わせてメリステム維持機構にどのように機能するかを探っていく。
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