2012 Fiscal Year Annual Research Report
転写においてRNAポリメラーゼが形成する過渡的な複合体の構造機能解析
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23370048
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関根 俊一 独立行政法人理化学研究所, システム研究チーム, 上級研究員 (50321774)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転写 / RNAポリメラーゼ / 転写因子 / 校正 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
RNAポリメラーゼ (RNAP) は、転写中に誤った塩基を取り込んだときなどに、一時的にDNA上を後退して「後退複合体」を形成する。この複合体では、RNAの3’末端の数残基はDNAから引きはがされているが、RNAPにはこれを切断・除去(校正)する活性が備わっており、これにより自ら転写を再開できる。さらに、この校正反応は、転写因子GreAによって大幅に促進される。「後退複合体」およびGreAを結合した「校正活性化複合体」の構造解析を行い、転写の校正とその制御のメカニズムを明らかにするために、それぞれの複合体を再構成して結晶化した (Murayama et al., 2013)。さらに、これらの結晶からX線回折データを取得し、構造決定に成功した。 並行して、RNAPの変異体を用いて溶液中でのRNAPの構造変化を検出する系の開発に成功した。これを用いて、後退複合体や校正活性化複合体におけるRNAPの構造状態および機能との相関を明らかにした。現在この系を用いて他の様々な転写複合体中におけるRNAPの構造・機能相関の解析を進めている。 転写の開始段階では、RNAPは転写開始因子(シグマ因子)を結合し、それを介してプロモーター特異的に転写を開始する。細菌に感染するバクテリオファージが産生するタンパク質の中には、このような転写開始に必要な複合体に結合して宿主の転写をコントロールするものがある。このような因子のひとつとRNAPとの複合体の結晶化に成功し、X線回折データ収集および構造決定に成功した。現在構造精密化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定した「後退複合体」、「校正活性化複合体」、「転写開始複合体」のそれぞれについて結晶化に成功し、想定より早く構造解析を進めている。また、溶液中でのRNAポリメラーゼの構造変化を検出する系の開発にも成功し、その系を用いた解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、現在進めている転写複合体の結晶構造解析を推進し、完結させる。立体構造から導かれた仮説を検証するために、RNAポリメラーゼや転写因子の変異体を作成し、機能解析を行う。
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Research Products
(4 results)