2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム安定化に寄与するRECQL1とRECQL5の機能の解析
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23370065
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
榎本 武美 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (80107383)
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Keywords | ゲノム安定維持機構 / 発がん抑制 / 遺伝子組換え / RecQヘリカーゼ / RECQL1 / RECQL5 |
Research Abstract |
本年度は、RECQL1とRECQL5の機能の解析を行い、RECQL1に関しては相互作用するタンパク質を検索することにより、RECQL5に関しては、RECQL5遺伝子破壊株がシスプラチンに感受性を示すことから、DNAクロスリンクの修復における役割を解析することにより調べた。 RECQL1相互作用するタンパク質の解析では、LaminB1、Spindrin-1、新規タンパク質C11orf84を同定した。 以下に、RECQL5の機能の解析について要約する。 1)RECQL5遺伝子破壊株は種々のDNA傷害剤のうち、シスプラチンやマイトマイシンCなど、DNA架橋剤に対して特異的感受性を示す。 2)RECQL5と、R4D17、FANCC、BRACA2遺伝子それぞれの二重遺伝子破壊株を作製して遺伝学的に解析することにより、RECQL5は、DNA傷害チェックポイントで働くRAD17や、DNAクロスリンク修復にはたらくFANCCとは別経路で、BRACA2とは同一経路で働くことが判明した。 3)RECQL5、BRACA2遺伝子単独破壊株と二重遺伝子破壊株を用いて解析することにより、BRACA2が形成するRAD51フィラメントをRECQL5が破壊していることを示す結果が得られ、RECQL5がBRACA2の下流で機能していることが示唆された。 4)RECQL5遺伝子破壊株にシスプラチンを作用させると、免疫グロブリン遺伝子の組換え頻度が上昇することが判明した。 以上の結果から、RECQL5はBRACA2が形成するRAD51フィラメントの形成を制御することによりDNA組換えを制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は免疫グロブリン遺伝子の組換えにおけるRECQL5の機能を主として解析する予定であったが、RECQL5のDNAクロスリンクの修復における役割に関する解析が大きく進展したため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に明確になったRECQL5のDNAクロスリンクの修復における機能をさらに明確にするために解析を続けるとともに、免疫グロブリン遺伝子の組換えにおけるRECQL5の機能が、RAD51フィラメントの形成阻害や転写抑制機能と関連しているのか否かを調べる。
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