2011 Fiscal Year Annual Research Report
変異体情報に基づく回転モーター固定子タンパク質の立体構造モデリングと機能解析
Project/Area Number |
23370066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Biophysics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (30252422)
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Keywords | 生体膜 / 受容体 / チャンネル / 立体構造モデリング |
Research Abstract |
本研究では、プロトン勾配で駆動される細菌べん毛モーターの固定子であるMotA/Bとこれにホモロジーを持ちナトリウムイオンで駆動されるモーター固定子PomA/Bの立体構造を変異体情報に基づいて構築し、大規模分子シミュレーションによって機能のメカニズムを解明する。具体的には。イオン透過のメカニズムを明らかにし、べん毛モーター全体の機能解明の端緒とすることで、膜タンパク質が持つ未知の原理を探求することを目指している。そのために当該年度は、(1)プロトン駆動型べん毛回転モーターMotA/Bの立体構造モデリングと(2)MotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明を主な課題として研究に取り組んだ。 (1)プロトン駆動型べん毛回転モーターMotA/Bの立体構造モデリングに関しては、主に膜貫通へリックス部位予測による2次構造情報、Cys変異により得られた残基間の遠近情報、Trp変異による機能の喪失情報を用いてモデリングを行った。距離拘束条件としては、Cys変異により得られた残基間の遠近情報のうち、収率20%以上を基準とすると4分の1である41ペアが対象となり、対称性も含めて83の残基間ペアに距離拘束を与えた。これにより初期のモデル構造を生成したのち、更に露わに脂質分子・溶媒の水分子とイオンを含めた原子レベルの分子動力学シミュレーションを行って立体構造を精密化した。これらの計算ののち、最も矛盾が少ない立体構造を選び出した。 また、(2)MotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明のために、更に長時間シミュレーションによって立体構造変化と安定性・構造揺らぎの特徴を中心に解析をおこなった。 平成23年度秋にタイで発生した大規模な洪水により、ハードディスクが予定量導入できず繰越を行ったが、平成24年6月に納入が完了し、研究を予定通り遂行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
MotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明が予定より早く進行し、プロトン透過シミュレーションの準備段階までを年度内に行うことができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
プロトンを透過する過程のシミュレーションを本格的に行う。具体的には、プロトンが透過するチャネルを同定し、水・ヒドロニウムイオン・ナトリウムイオンの透過シミュレーションと自由エネルギー計算をおこなう。これにより、更にMotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明を更に推進する予定である。
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