2013 Fiscal Year Annual Research Report
変異体情報に基づく回転モーター固定子タンパク質の立体構造モデリングと機能解析
Project/Area Number |
23370066
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (30252422)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 生体膜 / 受容体 / チャネル / 立体構造モデリング |
Research Abstract |
MotA/B複合体は1本の膜貫通へリックスとペプチドグリカン結合ドメイン(PBD)からなるMotBの2量体を中心に、4本の膜貫通へリックス(TM1-4)をもつMotAの4量体が取り囲んでいると考えられている。その膜貫通部位のモデリングの段階である目的(1)プロトン駆動型べん毛回転モーターMotA/Bの立体構造モデリングは、23年度で完成し、その後、目的(2)MotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明に取り組んできた。25年度は24年度から開始した水・ヒドロニウムイオン・ナトリウムイオンの透過シミュレーションの自由エネルギー計算の計算精度を、アンブレラポテンシャルの数を増やす等、いくつかの改善策を用いて計算精度を上げることに成功した。その結果、水の透過では予測通り自由エネルギー変化はないが、ヒドロニウムイオン・ナトリウムイオンでは透過によって十分なエネルギーの低下があることが確かめられた。また多数回のSteered MDシミュレーションによってもイオン透過の時間経過についても詳細な解析を行った。イオンチャネルには親水性のアミノ酸残基は少ないが、上記のシミュレーション中ではヒドロニウムイオンの透過時にはいわゆるWater wireが形成されることが観察された。これは水分子を媒介にしてプロトンが輸送されるという透過メカニズムを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画通り、イオンの透過シミュレーションの自由エネルギー計算の計算精度を、アンブレラポテンシャルの数を増やす等の改善策を用いて計算精度を上げることに成功した。この結果とSteered MDシミュレーションの結果を統合してよってイオン透過のメカニズムが明らかになったから。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度は、目的(2)MotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明の最終年度として、イオン透過が細胞質ドメインに及ぼす影響を検討する。細胞質ドメインの立体構造は現時点では不明であることから、第1段階では大まかな楕円体を仮定した場合に想定される運動をモデル計算し、回転子に与えうる動きを検証する。第1段階が順調に進んだ場合、第2段階として細胞質ドメインをモデリングする可能性も検討する。また、MotA/Bのモデル構造に基づいて、目的(3)ナトリウムイオン駆動型べん毛回転モーターPomA/Bの立体構造モデリングと機能解明を推進する。
|