2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23370079
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石井 俊輔 独立行政法人理化学研究所, 石井分子遺伝学研究室, 主任研究員 (00124785)
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Keywords | 転写 / メディエーター / Shn-2 / T細胞 / 分化 / アポトーシス |
Research Abstract |
私達が同定した転写アダプターShn-2は、BMPシグナル依存的に核内へ移行し、一群の遺伝子の転写活性化に関与する。また、Shn-2ノックアウトマウスでは、胸腺でのT細胞の分化が、Double-positiveからSingle-positiveへのPositive selectionの段階で停止している。Shn-2の作用メカニズム、特に特異的シグナルとの関連を明らかにするため、Shn-2を含む複合体を精製し、その構成因子として、多くのタンパク質のO-GlcNAc化に関与するO-GlcNAc transferase(OGT)を同定した。また、Shn-2タンパク質内の複数部位がOGTによりO-GlcNAc化されることが示された。Jurkat T細胞に野生型Shn-2を発現させると、そのほとんどは細胞質に局在するが、O-GlcNAc化部位に変異を導入した変異体は、核内に局在することが分かり、Shn-2の核-細胞質移行が、O-GlcNAc化により制御されることが示唆された。さらに野生型とShn-2ノックアウトマウスから調製したDP-T細胞を比較すると、Shn-2欠損T細胞ではアポトーシスが異常に亢進しており、そのためPositive selectionが正常に進行しないことが示された。さらに、DP-T細胞を用いたChip-on-Chip法により、Shn-2が直接結合している一群の遺伝子を同定した。また野生型とShn-2ノックアウトDP T細胞との遺伝子発現パターンをアレイ解析により比較し、Shn-2により転写が制御される標的遺伝子を同定した。これらの2つの手法を用いて得られた結果を総合し、Shn-2が直接制御する標的遺伝子を同定しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Shn-2の機能はまだ不明な点が多いが、T細胞でのアポトーシスに関与し、O-GlcNAc化により細胞内局在が制御されることが示され、大きな進展があった。そしてShn-2が直接結合する標的遺伝子が同定されたことは、今後の研究を進める上で大変有用である。
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Strategy for Future Research Activity |
同定されたShn-2が直接結合する標的遺伝子の中には、DP-T細胞でのアポトーシスに関与すると推定されるものが幾つか含まれている。これらの遺伝子が実際にShn-2により制御されるかどうかを解析することにより、Shn-2の生理機能を明らかにできると期待している。
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