2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の染色体不安定性を統御する中心体キナーゼの機能解析
Project/Area Number |
23370086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30156195)
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Keywords | 細胞周期 / Lats / GAK / 中心体 / キナーゼ / Cyclin G / リン酸化 / PP2A |
Research Abstract |
本研究は染色体の正確な分配を制御している重要因子としてLats1/2とGAKという中心体キナーゼに着目し、その異常が引き起こす染色体不安定性の分子統御機構について新規な3つのシグナル伝達経路の提唱を基盤として解明することを目的とする。ほぼ研究計画どおり順調に進み以下の成果を得た。1)Aurora-A-Lats2-Aurora-B(ALB)経路:M期において中心体キナーゼAurora-AによるLats2の特定のリン酸化がLats2の細胞内局在を変化させてAurora-A-Lats2-Lats1-Aurora-B(ALB)経路を形成し、正確な染色体分配と細胞質分裂の制御に機能していることを見出し、その成果を学術論文として発表した(「研究発表・成果」参照)。2)Chk1-Lats2-14-3-3-P-body(CLP)経路:DNA損傷(UV照射)に応答してChk1キナーゼがLats2の別の部位をリン酸化することでCLP経路から分岐して別の経路でアポトーシスを引き起こすことを発見した(投稿準備中)。3)GAK-PP2A-B'γ-Chk2/CondensinII(GBC)経路:GAKがPP2A B'γのThr104をリン酸化すことを見出し、この非リン酸化型T104A変異体は触媒サブユニットであるCsubunitと結合できなくなることを見出した。さらに、我々が作製したGAKのキナーゼコード領域を欠失させたノックアウトマウス(GAK-kd^<-/->)は、出生後間もなく血中酸素飽和濃度が上がらずに肺機能不全を発症して死に至る。詳細な解析を行ったところ、間質性肺炎のマーカーであるSP-Aの肺組織での異常分布が見られ、GAKのキナーゼ活性の阻害が肺胞の形態形成や酸素交換機能に重大な欠損を与え、すなわちこれが間質性肺炎の原因となることを示唆する結果を得た(「研究発表・成果」参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標の一つであったALB経路の発見とそのメカニズムの解析について研究計画の2年目で既に論文発表に至ることができた。この研究成果はCell Cycle誌のNews & viewsにも採り上げられ注目された。また、CLP経路については、そこから分岐してアポトーシスを制御する新しい経路を見出し、現在この論文は投稿間近である。さらに、GBC経路ではGAK-PP2Aの機能を明らかにし論文発表した。さらにGAKノックアウトマウスの肺発生の組織学的解析から肺癌の抗がん剤ゲフィチニブ(イレッサ)の標的でもあるGAKが、イレッサの副作用で起こるとされる間質性肺炎の原因の一つとなる可能性を示唆できたので論文として報告した。以上のことから、実験は予定以上に順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画どおり推進し、染色体分配を制御している重要因子として中心体キナーゼLats1/2とGARが関与する新規な3つのシグナル伝達経路(ALB,CLP,GBC)の機能解析を中心に、その異常が引き起こす染色体不安定性の分子統御機構について調べていく。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Microarray analysis of tonsils of IgA nephropathy patients2011
Author(s)
Iwatani H, Iio K, Nagasawa Y, Yamamoto R, Horii A, Okuzaki D, Inohara H, Nojima H, Imai E, Rakugi H, Isaka Y
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Journal Title
Adv Otorhinolaryngol
Volume: VOL72
Pages: 75-78
Peer Reviewed
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