2011 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷誘発血管拡張反応の生理的メカニズムの解明及び機能的潜在性の検討
Project/Area Number |
23370103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 享史 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90301407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 真太郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90002279)
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Keywords | 機能的潜在性 / 寒冷誘発血管拡張反応 / 局所耐寒性 / 血管機能 |
Research Abstract |
手指を氷水に浸漬した時に生じる寒冷誘発血管拡張(CIVD)反応の生理的メカニズム解明のために、新たな手指部血管機能評価法を検討し、既存の血管機能指標とCIVD反応の各指標の間の関係について検討した。 手指部血管機能評価に関して、成人男性7名に対し圧迫負荷時(0,20,30,40,50,60mmHg)の前腕静脈機能(静脈容積変化率(Vcap)、圧解放後の最大静脈流出量(MVO))と加速度脈波等を測定した。その結果、圧迫圧力とVcap及びMVO間に正相関、加速度脈波指標c/aとの間に負相関、圧迫時c/aとVcap及びMVO間に負相関を得た。また、2名に対し圧迫時(0,20,40,60mmHg)のVcap、MVO、指先脈波波形、指先血管径を測定し、圧力と血管径間に正相関、脈波振幅との間に負相関を得た。以上から圧迫負荷により手指部の血管柔軟性が評価できる可能性が示された。 血管機能とCIVD反応の関係を検討するために43名を対象に局所寒冷曝露実験及び手指部加速度脈波測定を実施した。局所寒冷曝露実験は、約25℃、約45%RHの人工気候室で30分以上の椅座位安静後、約0℃の氷水に右手第2指を第二関節まで30分浸漬した。指先皮膚温の変化から浸水後の初期低下度(△T)、最低値、最低値発現時間、浸水後5~30分の平均値と最高値(Tmax)、最低と最高値の差(Amplitude)を求め、CIVD反応の指標とした。その結果、加速度脈波指標d/aと△Tの間に正相関、最低値発現時間との間に負相関を得た。また、35名に対し、局所寒冷曝露実験、反応性充血時の血管拡張反応検査を実施した。反応性充血後1分間血流平均値とTmax、Amplitudeの間に正相関を得た。以上から、CIVD反応の発現時間には血管柔軟性が、反応の程度には血管反応性が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手指部の血管反応性の評価指標の検討が当初予定より遅れており、そのため、手指部の血管反応性と寒冷誘発血管拡張反応の関係の検討も当初予定より遅れている。しかし、手指部の血管柔軟性の評価指標の検討が当初予定よりも進展した。また、寒冷誘発血管拡張反応と既存の前腕血管反応性指標および血管柔軟性指標の関係の検討も当初の予定より進展している。以上のことから総合的に見ておおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、寒冷誘発血管拡張反応の生理的メカニズムにおける血管の神経性調節機構が関与しているかどうかについて皮膚血流量の変化化から検討する。特に寒冷曝露時の血管拡張反応発現における生理的メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(3 results)