2012 Fiscal Year Annual Research Report
多着花をもたらすカキわい性台木の花芽制御システムの解明
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23380020
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鉄村 琢哉 宮崎大学, 農学部, 教授 (00227498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尾 龍太郎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10211997)
本勝 千歳 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30381057)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 園芸学 / 果樹 / カキ / わい性台木 / 花原基 / 花成関連遺伝子 |
Research Abstract |
わい性台木MKR1とFDR-1の挿し木苗および‘富有’とMKR1の実生苗の外生ジベレリンに対する反応を調査した。GA3を5月に処理したところMKR1の新しょう伸長率が他の苗木より劣ったものの有意な差ではなかった。また、GA3を7月に処理したところすべての苗の新しょう伸長が促進された。In vitroでの実験においても、培地へのジベレリン添加に対する反応性は、‘富有’や‘平核無’と同様で、MKR1シュートのみ異なった反応をすることはなかった。以上より、MKR1がジベレリン受容体の変異が生じている可能性は低いと考えられた。 葉のtotal RNA抽出にCTAB法を用い、DkActinはDkAct7F/DkAct0Rのプライマー対を、DkFTはDkFT7F/DkFT0Rの組み合わせを使用し、6月中旬以降の‘平核無’葉のDkFTの相対発現量をリアルタイムPCRにより解析した。その結果、MKR1台樹のDkFTの発現は6月14日に最大であり、その後は減少すること、ヤマガキ実生台樹はどの時期でも0.1付近で安定して発現することがわかった。よって、わい性台木がDkFTの発現をコントロールしているという可能性が示唆された。 ‘平核無’花原基の発達ステージの調査の結果、台木の種類に関わりなく6月中下旬に急速にステージIIIに達し、その後は停止することがわかった。ところが花原基数に関してはMKR1台および台木a樹で7月後半までに急速に増加したものの、自根樹ではゆるやかに増加し、ヤマガキ実生台樹ではほとんど増加せず、有意に少ない花原基数を示した。葉原基数はヤマガキ実生台樹および自根樹で急速に増加したのに対し、台木a樹は緩やかに増加し、MKR1台樹は増加しなかった。花原基、葉原基および未分化原基の割合の変化はすべての台木樹で異なるパターンを示し、台木が各原基の形成に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
花成関連遺伝子の発現量の調査は予定通り行うことができたため、次年度に詳細な調査を行う環境を整えることができた。また、成木の花芽原基形成過程の調査に関しては、次年度予定していた内容まで調査ができたので、次年度は他の実験に集中できるようになった。一方、植物生長調整物質処理に関する実験については、実験材料の一部の成長が芳しくなかったため、NPAやBAを用いた実験は次年度に延期せざるをえなかった。よって、総合的に「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
花成関連遺伝子の発現量の調査を詳細に行うとともに、植物生長調整物質処理に関する実験については精力的に処理を行い、2種類の苗(1年生および2年生接ぎ木苗)を用いてデータの蓄積を一気に進め、それらの苗についても花芽の調査を行う。
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Research Products
(7 results)