2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネのいもち病抵抗性の分子メカニズム?2つの生物間で何が起こっているのか?
Project/Area Number |
23380024
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曾根 輝雄 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00333633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾瀬 農之 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (80380525)
寺内 良平 岩手生物工学研究センター, 生命科学研究部, 研究員 (50236981)
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Keywords | いもち病 / イネ / 抵抗性 / タンパク構造解析 / 相互作用 |
Research Abstract |
「Pia/AVR-Pia相互作用の時間・空間的位置の特定」 PiaとAVR-Piaの相互作用を解析するための抗体の有効性を担保するため,抗体作成の抗原となった組換えAVR-Piaタンパク質(rAVR-Pia)をイネに処理し,その反応を解析した.イネ葉身をペーパーディスクを装着したペンチで圧迫し,そこにタンパク質溶液を滴下した.Piaを保持するイネでは,rAVR-Pia処理後滴下位置から離れた場所に褐色斑点が見られたが,Piaを持たないイネ品種や,BSA・水処理ではその様な反応は見られなかった.rAVR-PiaはPiaを持つイネに認識され,抵抗性反応を誘導したと考えられた.これにより抗AVR-Pia抗体の有効性が担保された. 「Pia/AVR-Pia相互作用の構成要素の解明」 AVR-Piaをイネのプロトプラスト内で一過的に発現させ分画したところ、約半分は可溶性画分に蓄積していたが、残りは不溶性画分に認められた.浮遊密度勾配遠心の結果,不溶性画分のAVR-Piaは何らかの宿主生体膜成分と直接的もしくは間接的に相互作用していると考えられた. 一方,Piaを構成する2つのNBS-LRR型タンパク質遺伝子,RGA4とRGA5の機能解明について研究を実施した。Piaをもたないイネ品種のプロトプラストにおいて、RGA4の過剰発現が細胞死を誘導すること,RGA4とRGA5の共発現によってRGA4の細胞死効果が抑制される傾向が認められた。 「Pia/AVR-Pia相互作用の構造生化学的解明」 AVR-Pia結晶は形成が不安定であり,X線回折を行うことは出来なかったが,NMRにより構造解析を行った.結果について,現在計算中である.一方,AVR-Pita, AVR-Pikに関しても大腸菌の大量発現に成功し、巻き戻し法にて精製標品を得ることに成功した。さらにAVR-Pikの結晶様固体を得ることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の重要な点である顕微観察に使用するための抗AVR-Pia抗体の有効性が確認されたことで,今後,より微量のAVR-Piaを検出することが出来,非親和性相互作用の解析を行うことが出来る.また,AVR-Piaの交互作用因子(インタラクター)の同定にも近づいている.AVR-Piaの構造の解明も近い.さらに,本研究の波及効果として,Piaを構成するタンパク質の機能や,その他のAVRタンパク質の構造の解析も進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
免疫電顕,蛍光染色により非親和性相互作用時におけるAVR-Piaの動態を明らかにする.そのためには,非切断葉鞘裏面接種を行い,付着器の形成時期の前後で,始めてAVR-Piaが検出される時期と局在を明らかにする必要がある. 一方,イネプロトプラストー過性発現系を使用して,AVR-Piaに対するイネのインタラクターの探索を行う.インタラクターが同定されたら,その遺伝子の機能についても解析を行う.AVR-Piaの構造解析を完了する.AVR-Piaとのインタラクターが同定され次第,そのタンパク質の発現と構造解析を進める. AVR-Pikに関しては,次回の放射光ビームタイムにて回折測定・構造解析を行う予定である。AVR-PikはイネPikm1と直接相互作用するため、両分子を溶液中に取り出し精密な相互作用解析を行う予定である。
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Research Products
(5 results)