2012 Fiscal Year Annual Research Report
イネのいもち病抵抗性の分子メカニズム~2つの生物間で何が起こっているのか~
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23380024
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曾根 輝雄 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00333633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾瀬 農之 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80380525)
寺内 良平 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 生命科学研究部, 研究部長 (50236981)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | いもち病 / イネ / 抵抗性 / タンパク構造解析 / 相互作用 |
Research Abstract |
Pia/AVR-Pia相互作用の時間・空間的位置の特定:組換えAVR-Piaタンパク処理によってPiaイネにみられた病斑状の斑点はDABで染色され,活性酸素蓄積を伴う過敏感反応がであることが示唆された.また, 抗AVR-Pia抗体を用いていもち病菌由来のイネ中の分泌型AVR-Piaを定量した結果, 全可溶性タンパク質に占める割合は病斑状斑点を誘導するタンパク質量より遥かに少なく, いもち病菌感染時の効率的なAVR-Pia認識には他の要素が介在している可能性が示唆された. Pia/AVR-Pia 相互作用の構成要素の解明:イネのいもち病抵抗性タンパク質Piaを構成する2つのNBS-LRR型タンパク質遺伝子、RGA4とRGA5の機能解明を継続した。イネ細胞およびベンサミアナタバコにおける一過的過剰発現実験において、RGA4の過剰発現が細胞死を誘導すること、RGA4とRGA5の共発現によってRGA4の細胞死効果が抑制される傾向が再確認された。AVR-Piaは、RGA5のC-末のHeavy metal associated (HMA)領域に結合するが、Rタンパク質以外のイネ側相互作用因子は未同定である。現在、AVR-Piaのイネ側相互作用因子の探索中である。 Pia/AVR-Pia相互作用の構造生化学的解明:AVR-Piaに関して、15N、13C安定同位体ラベル化試料を作製し核磁気共鳴(NMR)法を用いて測定したところ、ピークの分離が非常に良い1H-15N HSQCスペクトルが得られ,主鎖のアミド-アミドプロトン由来の予測相関ピーク62個全てを観測することが出来,さらに構造を推測することができた。得られた構造は単量体を示しているが、yeast two hybridの結果は酵母内においてAVR-Piaが二量体以上で存在する可能性も示しているため、溶液中での構造精密化を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組換えAVR-Piaによるイネの抵抗性誘導の解析で,実際にタンパク質がイネにより認識されること,実際の感染に於いては非常に微量のタンパク質が認識されていることが明らかとなった.この成果により,免疫電顕による感染初期のAVR-Piaタンパク質の検出の有効性が示された. イネのPiaタンパク質の機能についても順調に明らかになってきており,過敏感細胞死を誘導するRGA4とAVR-Piaと直接結合するRGA5の役割がわかってきた.両者の関係やさらに新たな宿主側の因子が今後明らかになると考えられる. NMR法により,AVR-Piaの構造が明らかになった.いもち病菌由来のAVR遺伝子産物では初めての例であり,データを検証すると共に論文発表を準備している. 全ての課題がこれまで通りに進捗すれば,当初目的は達成できると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
Pia/AVR-Pia相互作用の時間・空間的位置の特定:昨年度確立した免疫学的検出法を用いて,非親和性接種時におけるAVR-Piaタンパク質の挙動を免疫染色あるいは免疫電顕観察により解析する.一方でAVR-Pia遺伝子の発現といもち病菌の感染器官である付着器の分化との関係を明らかにするため,付着器形成に異常があるMac1変異株,付着器からの侵入に異常があるPls1変異株にAVR-PiaプロモーターのGFPレポーター系を導入し葉鞘裏面接種法による感染実験を行う. Pia/AVR-Pia 相互作用の構成要素の解明:昨年度までに,AVR-Piaタンパク質とRGA5 タンパク質のC末端側が直接結合することが明らかになった.本年度はさらにAVR-Piaと相互作用するイネ側の因子を明らかにする為,因子の同定を継続して行う. Pia/AVR-Pia相互作用の構造生化学的解明:AVR-Piaの構造精密化を終了させ、論文発表を行う。また、AVR-Pikに関しても引き続き結晶化条件の探索を行うと共に必要であれば15N、13C安定同位体ラベル化試料を作製し,NMR測定を行う。また、AVR-Pia及びAVR-CO39が宿主側のR蛋白質であるRGA4/RGA5と直接相互作用する可能性が見いだされた。これを溶液中で検証すべくRGA4/RGA5を組換え調製し、表面プラズモン共鳴(SPR)法や等温滴定型熱量計(ITC)、示差走査型熱量計(DSC)、分析超遠心機(AUC)法を使用し、精密に相互作用パラメータを評価する。 以上のことにより,AVR-Piaタンパク質とRGA4, 5タンパク質の相互作用の詳細と,時間的,空間的な把握が行える.最終的には,これらの相互作用のモデルを提唱したい.
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Research Products
(12 results)