2011 Fiscal Year Annual Research Report
宿主特異的毒素ビクトリンのレセプタータンパク質の単離と機能解析
Project/Area Number |
23380026
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
多田 安臣 香川大学, 総合生命科学研究センター, 准教授 (40552740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋光 和也 香川大学, 農学部, 教授 (80263888)
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Keywords | 宿主特異的毒素 / ビクトリン / 特異性決定因子 / エンバク / エンバク葉枯病菌 |
Research Abstract |
植物病原菌は宿主植物の免疫応答を打破するべく宿主特異的毒素(HST)に代表される感染決定因子を分泌する。エンバクビクトリア葉枯病菌が産出するビクトリンは、同菌感受性遺伝子であるVb保有エンバク品種にのみ毒性を発揮する。現在までVb遺伝子は単離されていないが、ビクトリンはミトコンドリア局在性のグリシン脱炭酸酵素複合体(GDC)を作用点とすることが報告されている。しかし、GDCはビクトリン非感受性エンバク品種においても保存されており、毒素の選択性については十分説明できない。本研究では、応募者らによる細胞表面におけるビクトリン認識機構に関する実験的証明を背景に、新規ビクトリン結合タンパク質をまず単離し、さらにVBCPと複合化し、シグナル伝達に関与する膜タンパク質群を同定して、同菌感受性誘導に係る特異的毒素認識機構を明らかにする。 本年度は、ビクトリンを大量精製し、NHS-LC-LC-biotinによりビクトリンの有するアミノ基を修飾した(vicBio)。vicBioは、ビクトリンに比べ毒素活性は約三分の一と弱いが、毒素特異性は保存されており、感受性品種であるIowa X469のみに細胞死を誘導した。そこで、Iowa X469植物の細胞壁からタンパク質を抽出し、vicBio結合性タンパク質の同定を試みた。その結果、vicBio添加区でのみ特異的にストレプトアビジンでpull-downされる、約15kDaのタンパク質を検出することに成功した。以前のゲル濾過カラムを用いた研究から、ビクトリン結合タンパク質の分子量は20kDa以下であることが想定されており、今回得られた結果はこれらと矛盾しない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、予定通りビクトリン結合タンパク質を細胞壁画分から同定することに精製した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ビクトリン結合15kDaタンパク質の内部配列を質量分析計を用いて解析する。エンバク植物は、ゲノム解析が十分行われていないので、配列情報の獲得が困難な場合は、ビクトリン結合タンパク質が同様に検出されたイネ植物を用いる。ビクトリン結合タンパク質のcDNAから同組換えタンパク質を合成し、ビクトリンと結合するかを検討し、結合定数等の生化学的情報を得る予定である。また、以前の解析から、ビクトリン結合タンパク質はカルシウムイオン依存的にビクトリンと結合することが示唆されているので、同タンパク質のカルシウム結合能についても調査する。
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