2011 Fiscal Year Annual Research Report
渓畔林メタ群集の成立過程と環境ニッチに基づく統合中立理論の検証
Project/Area Number |
23380087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Forest science
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
星崎 和彦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (30322655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 大介 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 林業領域, 主任研究員 (60391182)
柴田 銃江 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, グループ長 (10343807)
松下 通也 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (70624899)
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Keywords | 種子散布制限 / 発芽条件 / 撹乱頻度 / 種多様性 / 河川撹乱 / 景観スケール |
Research Abstract |
渓畔林は風倒木のほかに河川撹乱を有するという撹乱体制に特徴付けられ、しばしば、河川撹乱の頻度と強度は林分の構造と動態、種多様性に密接に関連していると言われてきた。今年度はまず、撹乱体制が異なる隣接した2つの渓流(カヌマ沢及び大荒沢)を含む渓畔景観に15.25haの調査地を設け、次の3点に集中して取り組んだ。主な成果は以下のとおりである。 (1)主要樹木の景観スケールでの分布 景観スケールの代表種としてサワグルミ、ヤマハンノキ、イタヤカエデの3種を選び、分布パターンの解析を行った。その結果、樹木の分布は、カヌマ沢に偏る種(サワグルミ)、大荒沢に偏る種(ヤマハンノキ)、どちらの沢にも普通に出現する種(イタヤカエデ)といった具合に異なっていた。 (2)結実木の空間配置 これら3種の結実木の分布を景観全体にわたって広域に調査した。まず、春先に開花個体を景観全体から広く選び、直径と開花確率の関係式を構築した。これをもとに、開花確率=0.5となる直径を超える個体を結実個体とみなした。その後景観全体を踏査し、この定義にかなう個体をマッピングした。 (3)種子トラップの整備 景観全体にわたって種子トラップを122個設置し、観測体制を整えた。カヌマ沢では以前からの継続観測データもあり、今年度はこのデータを整理して本課題に利用可能なデータのフォーマットを作成した。次年度以降は、これを使って統一的な解析が開始できる見込みとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地の整備と種子トラップの導入、主要樹種の分布パターンの収集は予定通り進んでいる。種子トラップのデータ解析については、データ入力が終わったばかりであり、H24年度から解析可能な状況になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に整備した調査地において、更新稚樹の分布と個体数を調査する。環境計測データを用いて、各樹種のニッチを定量化する。種子トラップによる種子散布制限の調査は、24年度以降も同様に継続し、データ集計が間に合えば中間集計を行う。
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