2012 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動下における国産主要樹種の肥大成長および材質の変動予測
Project/Area Number |
23380097
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安江 恒 信州大学, 農学部, 准教授 (00324236)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 健 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 組織材質研究室長 (00353839)
大山 幹成 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (00361064)
桃井 尊央 東京農業大学, 地域環境科学部, 特別研究員 (00445694)
武津 英太郎 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター九州育種場, 研究員 (10370826)
古賀 信也 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20215213)
織部 雄一朗 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター東北育種場, 研究員 (40370853)
内海 泰弘 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50346839)
田村 明 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター北海道育種場, 研究員 (20370843)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 年輪年代学 / 温暖化 / 気候変動 / 気候応答 / 材質 / 適応性 / 年輪幅 / 遺伝的変異 |
Research Abstract |
将来予想される気候変動下での国産主要4樹種(スギ,ヒノキ,カラマツ,ブナ)の肥大成長量や密度変化の定量的予測を目的とし,年輪年代学的手法による気候応答解析を行った。H24年度においては,(1)年輪クロノロジーネットワークの構築および(2)遺伝的系統間差を明らかにするための産地試験林におけるクロノロジー構築を重点的に実施した。 (1)4樹種について,23年度採取試料の測定および新規年輪試料採取を推進し,新たに20地点(スギ10,ヒノキ5,カラマツ2,ブナ3)において,地点の年輪幅および密度変動を代表する時系列であるクロノロジーを作成した。また,10地点において採取試料の測定中である。既往および本研究において構築したクロノロジーについてデータベース化を進め,Webにおいて公開を行った。 異なる生育地におけるヒノキを対象に気候応答解析を行ったところ,冬~春の気温が年輪幅に促進的に影響していたが,寒冷地から温暖地にかけて,4月~2月と影響を及ぼす月が順次替わり,最も温暖な生育地では冬季の気温との相関が認められなかった。この結果は肥大成長を制限する気温に一定のしきい値が存在する可能性を示唆しており,今後多地点で作成したクロノロジーを対象に検証を行う。 (2)遺伝的系統間差の検討では3生育地(長野県小諸市・岩手県雫石村・北海道江別市)に植栽されたカラマツクローンおよび2生育地(埼玉県秩父市・北海道江別市)に植栽されたブナ実生を対象に解析を行い,気候応答に遺伝的差違が生じている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究推進に当たり最も重要なクロノロジーの構築について,H24年度には20系列を新たに作成し,さらに10系列の試料採取を完了した。特に,データ密度の低い近畿中国地方を重点的に採取を実施し,クロノロジー構築を進めることができた。データベースについても,WEB上での公開を行い,現在,順次登録クロノロジー数を増やしている段階にある。多地点のクロノロジーに基づく樹種ごとの気候応答特性の把握に有効なデータ集積に見通しが付いてきている。遺伝的差違の検討については,カラマツ,ブナともに解析,結果のとりまとめ,発表まで到達した。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度は,計画に従って,(1)国内各地における主要4樹種のクロノロジーの構築を推進する。この際,天然分布北限付近やそれを越える生育地におけるクロノロジーを構築し,近年の温暖化傾向の中での気候応答変化を解析する。データベースの整備および軟X線デンシトメトリにおける年輪幅および密度測定のため,信州大学において測定補助の人員の雇用を継続する。(2)集積したクロノロジーを基に,各樹種の気候応答解析を進め,各樹種の成長を制限している気候要素の特定を進める。それにより,気候変化に伴う肥大成長変化予測を行う。
|
Research Products
(21 results)
-
-
-
[Journal Article] Reconstruction of northeast Asia spring temperature 1784-19902013
Author(s)
Ohyama, M., Yonenobu, H., Choi, J.-N., Park, W.-K., Hanzawa, M, Suzuki, M.
-
Journal Title
Climate of the Past
Volume: 9
Pages: 261-266
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-