2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380099
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 正人 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30242845)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | あて材 / 木質 / 成長応力 / ラッカーゼ |
Research Abstract |
樹木は成長応力を自らの姿勢を整える機能として利用している。この応力は樹木の健全な成長には欠かすことができないが、我々が木材として利用する場合には、その応力は木材の反りや曲がりの原因となり、歩留まりの低下や高度加工の妨げになる。そこで本研究は、成長応力の発生の仕組みを分子生物学的手法を用いて理解することに取り組んだ。 針葉樹には自らが伸びようとする成長応力、つまり圧縮の成長応力が発生して、姿勢の調整が行われる。この圧縮の成長応力は、圧縮あて材と呼ばれる特異なな細胞に発生する。本研究は針葉樹のヒノキを対象に行った。圧縮の成長応力の増大は、圧縮あて材細胞壁の木化度、つまりリグニン量の増加と高い相関がある。そこでリグニンの生合成に関わる遺伝子に着目し、リグニン前駆物質の合成に関与するすべての酵素らを調節する遺伝子およびリグニン前駆物質を参加重合させるすべての酵素らを調節する遺伝子の発現量に着目した。この結果、圧縮あて材にはリグニン前駆物質を重合させる酵素としてラッカーゼが特異的に関与することが明らかになった。ヒノキにおけるこのラッカーゼ遺伝子を我々はCoLac1と名付けた。 CoLac1遺伝子は圧縮あて材でのみ発現する特異遺伝子であり、この発現量の増加に伴い細胞壁のリグニン量が増えることが分かった。さらに、圧縮あて材細胞壁の特徴である二次壁中層外周部のおける過度にリグニンが堆積した領域(S2L領域)の幅はCoLac1の発現量が増すと広くなることが分かった。 そこで、CoLac1遺伝子が導くラッカーゼの存在場所と存在時期といった様式を調べるため、CoLac1のペプチド抗体を作成にとりかかり、これを完成させた。この抗体を次年度に使用して、CoLac1の発現様式を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
圧縮あて材形成を分子生物学の手法から理解を深める本研究は、圧縮あて材形成時にのみ発現する特異遺伝子CoLac1の発見という最大の成果を得た。リグニン化学において、リグニン前駆物質の重合にペルオキシダーゼとラッカーゼが示されていたが、CoLac1の発見は過度なリグニン堆積のためにラッカーゼが必要であることを示した。二次壁中層外周部のS2Lの幅とCoLac1の相関が高いことから、その発現様式の解明へと研究は進んでいる。 リグニン生合成酵素の一様な増加を当初は予想していたので、それ以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
CoLac1が発現する時期、発現する場所を調べることで、圧縮あて材細胞壁がなぜ過度にリグニンが堆積するのか、なぜS2L領域が形成されるのかが、理解できるかもしれない。本研究課題終了後に、新たな課題としてCoLac1ヒノキ組み換え体の作成が必要になると予想される。
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Research Products
(5 results)