2012 Fiscal Year Annual Research Report
田んぼダムの経済評価に基づく戦略的整備計画手法の開発
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23380139
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉川 夏樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90447615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 浩保 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00399354)
有田 博之 新潟大学, 自然科学系, 自然科学系フェロー (40313506)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 田んぼダム / 経済効果 / 戦略的整備計画手法 |
Research Abstract |
平成24年度は,①田んぼダムの経済効果算定のための簡易モデルの開発,②田んぼダムの治水計画所の位置づけと普及を支援する制度的な枠組みの提案を中心に研究活動を行った.これに加えて,③平成23年度に発生した新潟・福島豪雨災害における田んぼダムの効果実証作業を行った. ①田んぼダムの経済効果算定のための簡易モデルの開発 ー 平成23年度に構築した田んぼダムの効果算定のための数値計算モデルと治水経済調査マニュアルに準じて算出した各田んぼダム実施流域における経済効果の計算結果を標本として,経済効果算定のための簡易統計モデルを開発した.これによって,簡便かつ効率的に流域における田んぼダムの効果が算定できるようになった.本成果によって,平成25年度農業農村工学会京都支部で「研究奨励賞」を受賞することが決定している. ②田んぼダムの治水計画所の位置づけと普及を支援する制度的な枠組みの提案 ー 田んぼダムの取組普及には取組農家へのインセンティブ付与のための公的支援が必要であると考えるが,支援策導入に向けた取組地区の優先順位付け手法の確立に取り組んだ.①で開発した簡易モデルを新潟県および富山県の全流域に適用して経済効果を算出し,優先的に取り組むべき流域を選定した. ③新潟・福島豪雨災害における田んぼダムの効果実証 ー 平成23年度に発生した新潟・福島豪雨災害で降雨が集中した地域の田んぼダムの効果を検証した.該当地区は3地区あり,それぞれのモデルを作成し効果を定量化したところ,大きな物理的・経済的効果があったことが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた課題の検討は概ね完了した.「①田んぼダムの経済効果算定のための簡易モデルの開発」は統計的手法を用いたモデルであるが,標本である実証流域が15流域と少ないため,実証流域を増やし信頼性の高いモデルの構築を目指す予定である.この他,申請当初の予定にはなかったが,平成23年新潟・福島豪雨災害によって田んぼダムの役割と経済価値の実証ができたため,本豪雨災害を対象としてモデルの精度検証等を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度が本申請課題の最終年であるため,平成24年度までに共同研究者と検討・構築してきた「数値モデル」「経済効果算定のための簡易モデル」と「田んぼダムの治水計画上の位置づけと普及を支援する制度的な枠組みの提案」を融合させ,最終的な研究目的である効果的かつ効率的に田んぼダムの公益的機能を提供するための戦略的な取組配置技術を共同研究者全員で検討し,確立する.これには,行政機関の協力が欠かせないが,現在新潟県庁農地部には「田んぼダム勉強会」が設立されている.官学連携の体制をとりながら本研究目的を遂行したいと考えている.
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