2012 Fiscal Year Annual Research Report
農村地域活性化の実践に向けたソーシャルキャピタルの有効性と限界に関する実証的研究
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23380141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 愼太郎 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (20026602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西前 出 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80346098)
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90324706)
平井 寛 岩手大学, 工学部, 准教授 (20387749)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | ソーシャルキャピタル / 農村地域活性化 / 地域づくり / 農村社会 |
Research Abstract |
我が国のソーシャル・キャピタル(以下,SC)に関して,SCを定量化する方法,SCを高める方法,政策への応用などの研究がSC研究の最前線にある。いずれの場合もSCを規定する要因を明確にする必要があるが,現段階ではSCは無形で曖昧模糊とした概念であるため既存のデータとの関連性がわかりにくい。本研究では,こうしたはっきりとしないものの要因を抽出するため,アンケート調査及び盛岡市の事例研究を行った。アンケート調査では欧米型の先行研究で用いられた質問項目に加え,地域独自の社会構造,その運営,歴史や環境によって形成された地域独自の風土を測定できる調査項目を独自に設定し,アンケート調査や面接による悉皆調査にて捉えることを試みた。こうした目的を完遂するための大規模調査を実施するため質問項目の検討を行った上で,質問紙の配布を行い,かつ年度中に,回収がほぼ完了した。具体的には,近畿・中国・四国地方の集落の中から無作為抽出された413集落を対象に,タウンプラスサービスを介して,全42,804世帯に質問紙を配布した。 また,同時並行して,研究内容に関する理論的枠組も検証し,2006年度に実施したSCの大規模アンケート調査を元に,地域資源管理への参加に対する要因の分析,およびSCの定量化を図った上で,空間的な分布を規定する関連因子を特定し,原著論文として発表した。本論文の成果は上述の質問項目に反映させ,学術的成果を背景とした質問紙を作成することができた。 盛岡市の事例では郊外地域における高齢者の活動性とSCについての研究の一環として,高齢者の主要な外出目的の一つである買物行動に着目し,小売店データと道路ネットワーク,国勢調査小地域データを用いて買い物施設へのアクセシビリティが低い地域の抽出と買い物不便・困難者人口の推計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心課題であるアンケート調査は,大規模に実施するため慎重な調査対象地域の選定,及び科学的知見に基づく質問紙の作成が重要であった。この2点について平成24年度中に達成し,質問紙の配付まで完了したため,当初の目的通りに進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は最終年度として,回収した質問紙調査のデータから,地域文化とSCの関連に対する多角的検討を行うと共にこれまでの研究の取りまとめを行う。 地域文化の重要性はこれまでにも指摘されてきたが,その重要性の実証的な検討は十分ではなかったため,農村,漁村,さらには都市といった異なる地域の生業類型に根付いた,いわゆる「地域文化」のデータをその特徴別に振り分けを行い,地域文化に応じた幸福感ならびに地域の環境保全活動のあり方を実証的に検証する。データ分析,事例検証や地域間比較から,地域に元々ある地域資源や文化,および地域の個性とSC等との関連を探り,新たな価値の創造に向けた農村地域活性化のあり方を提案する。これらの成果は,学術誌への投稿および,関連学会での発表を予定している。 盛岡市においての事例研究は,引き続き高齢者の活動性・健康とSCの関連についての分析を行う。 なお,研究を遂行する上での問題点は,現時点では特にない。
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Research Products
(6 results)