2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23380172
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本道 栄一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30271745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 直子 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90377789)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 胚着床 / 子宮内膜 / 間質細胞 / 幹細胞 / マウス |
Research Abstract |
これまでの研究で、マウスにおいては卵巣除去後3週間で子宮は活動をほぼ停止するものの、細胞死は劇的に起こらず、細胞数は卵巣除去前に比べてもほぼ一定に保たれていた。その後、エストロジェンの単独投与で子宮間質細胞の活性は形態変化を伴って著しく上昇した。そして、これらはエストロジェンの作用による間質細胞の分化・脱分化が原因であることが推測された。この時点で、エストロジェンが間質細胞にてSTAT3のリン酸化を促していたことから、本年度においてはLIFによりSTAT3のリン酸化が誘起される細胞について調査した。結果、pSTAT陽性細胞とNanog, Oct4を産生する細胞が一致しないケースが多いことから、間質細胞の分化・脱分化はJak/STAT3経路とは別の経路で起こる可能性が示唆された。本実験系は卵巣除去という特殊な状況下で行われたので、間質細胞の分化・脱分化は正常な生殖周期中にもみられるものかどうかを調べるため、発情周期中の子宮内膜におけるLIF、Oct3/4、Nanogの発現を調査した。これら3因子の発現は、発情期の子宮内膜間質にはほとんど見られず、発情後期から発情前期にかけて子宮内膜の間質で検出されるという共通のパターンを示した。このことから、発情周期中にE2レベルに応じて間質細胞の分化段階が変動していると考えられた。E2に誘導される間質細胞の脱分化によって生じた未分化な細胞の一部が幹細胞として機能するものと考えられ、この幹細胞は子宮内膜内で局在性を持っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、その目的を「動物の生産性の向上を目標に、胚着床の制御機構、それを支える子宮内膜間質細胞の挙動を明らかにし、自然流産による動物の生産性の低下を解決しようとするものである。さらに、子宮内膜癌の発症メカニズムの解明も試みる。」としている。前者は予定以上に進展しているが、後者が少し遅れている。平成24年度初頭に受け取る予定だったpten遺伝子条件付欠損マウスの譲渡契約が予想以上に時間がかかり、平成24年度後期になってしまった。現在、遺伝子型の決定条件等が整い、目的達成を目指している。研究全体でみた場合には、おおむね順調に進展しているとしてよいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
前記、現在までの達成度で述べたpten遺伝子条件付欠損マウスを用いたは、入荷が遅れたもの、入荷後は順調に進んでおり、正常マウスで行う幹細胞の特徴付けが終われば、同じ実験を行えばよいので、特段の推進計画がなくても予定以上の進展とすることが出来ると考える。
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Research Products
(5 results)