2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ球菌食中毒のパラダイムシフトー病原体・毒素・宿主への包括的アプローチ
Project/Area Number |
23380177
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
重茂 克彦 岩手大学, 農学部, 教授 (60224309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 欣郎 岩手大学, 農学部, 教授 (10252123)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 食中毒原性 / ヒト常在菌 / ゲノムバイオロジー / 嘔吐 / スンクス / 細菌毒素 / 肥満細胞 |
Research Abstract |
ゲノムバイオロジーによる解析では、食中毒原性黄色ブドウ球菌の遺伝学的特性を検索するためにmulti locus sequence typing(MLST)によって由来の異なる黄色ブドウ球菌の系統解析とその系統のSEs/可動性遺伝因子/プラスミドプロファイルを行った。食中毒由来株と鼻腔由来株を用いて両集団の系統解析の比較を行ったところ、両集団を構成する系統の比率は有意に異なっていた。食中毒由来株で最も存在頻度が多かった系統では共通のSEH関連可動性遺伝因子を保有しており、さらに株によってSEA/SEB関連可動性遺伝因子と約25Kbpのプラスミドを保有していた。また、鼻腔由来株にも食中毒由来株と類似した遺伝学的特徴を示す株を含んでいたが、その出現頻度は2%と非常に低いものであった。また、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)の体内動態を検討するために、嘔吐モデル動物であるスンクスにSEAを複腔内投与、あるいは経口投与し、抗SEA抗体を用いて免疫組織学的にSEAの分布を検索した。複腔内、経口投与ともに、SEAは消化管粘膜下組織肥満細胞に結合していた。また、脱穎粒阻害剤の複腔内投与によって、経口投与および腹腔内投与されたSEAによる嘔吐が抑制されることが明らかになった。すなわち、SEAによる嘔吐発現において粘膜下組織肥満細胞による脱穎粒が重要な役割を果たしている可能性が高い。以上のように、ブドウ球食中毒由来菌の遺伝学的特性の一端を解明するとともに、SEAの感染機構に肥満細胞が関与することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的をある程度達成し、論文1報を発行した。新しい実験にも着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が死亡したため、本研究は中止する。
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Research Products
(7 results)