2012 Fiscal Year Annual Research Report
Baeyer-Villiger酸化の新戦略・新方法論の開拓
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23390006
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
落合 正仁 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50127065)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機化学 / Baeyer-Villiger酸化 / 臭素 / 超原子価 / 転位 / ケトン / アルデヒド |
Research Abstract |
超原子価臭素の極めて高い超脱離能を利用して、ジフルオロブロマンを用いたBaeyer-Villiger(BV)酸化の全く新しい方法論を開発するのが本研究の目的であり、以下の研究を実施した。 1)ケトンのBaeyer-Villiger酸化反応を開発することに成功:アルデヒドだけでなくケトンのBaeyer-Villiger酸化反応も進行することを、ジフルオロ-λ3-ブロマンとシクロヘキサノンとの反応を実施して、証明した。更に、2-メチルシクロヘキサノンとの反応では、古典的Baeyer-Villiger酸化反応と全く同様に、メチン基の転位がメチレン基の転位よりも圧倒的に優先することを確立した。メチン基の高い転位能を反映した結果である。 2)芳香族アルデヒドのBaeyer-Villiger酸化反応を開発することに成功:ジフルオロ-λ3-ブロマンを用いると、芳香族アルデヒドのBaeyer-Villiger酸化反応も進行することが明らかになった。少量の水の存在下、ベンズアルデヒドにジフルオロ-λ3-ブロマンを塩化メチレン中0 °Cで作用させると、ギ酸エステルが選択的に生成した。安息香酸の生成は全く検出されなかった。本反応は、世界で初めてのベンズアルデヒドのBaeyer-Villiger酸化反応である。なお、ベンズアルデヒドの過安息香酸による古典的酸化反応では、安息香酸が専ら生成してしまい、そのBaeyer-Villiger酸化は全く進行しないことが報告されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画(1、ケトンのBaeyer-Villiger酸化の開発;2、芳香族アルデヒドのBaeyer-Villiger酸化反応の開発)に従って研究を実施したところ、これまでに前例の全くない芳香族アルデヒドであるベンズアルデヒドのBaeyer-Villiger酸化反応を開発することに成功した。世界で初めての研究成果である。なお、芳香族アルデヒドのBaeyer-Villiger酸化におけるベンゼン環上の置換基効果(パラ位置換基の電子的効果とオルト位置換基の立体的影響)については現在検討中である。 また、アルデヒドだけでなくケトンのBaeyer-Villiger酸化反応も進行することを明らかにした。 以上のように、Baeyer-Villiger酸化の新戦略を提案する本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に変更はなく、これまでに前例の全くない単純芳香族アルデヒドのBaeyer-Villiger酸化反応の置換基効果の調査やBaeyer-Villiger酸化反応における立体化学の検討(光学活性な2級アルデヒドを合成し、得られるギ酸エステルを炭酸塩と処理してアルコールに変換し、その絶対配置と光学純度を決定する。我々のBaeyer-Villiger酸化が立体保持で進行することを証明する。)を実施する。また、分子軌道計算(DFT法及びMP2法)も実施して、反応機構の検証も行う予定である。
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Research Products
(15 results)