2011 Fiscal Year Annual Research Report
核酸医薬デリバリーにおける免疫活性化機構の解明とそのバイオ応用に関する研究
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23390012
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
際田 弘志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50120184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50325271)
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Keywords | DDS / PEG / リポソーム / ABC現象 / Anti-PEG IgM / 免疫活性化 |
Research Abstract |
核酸は抗体医薬に次ぐ第三世代の医薬品として期待されている。実用化の鍵は送達キャリアの開発にあると言われているが、臨床応用可能なキャリアの開発は進んでいない。これは、薬理効果の優劣によって評価が行われ、免疫反応などの相互作用に関する評価が行われていないためである。本研究では、既に我々が確認し、臨床的に問題となりうる、核酸・キャリア複合体投与時の初期免疫活性化(1.ポリエチレングリコール(PEG)に対する抗体(anti-PEG IgM)誘導亢進、2.炎症性サイトカインの分泌誘導(サイトカイン・ストーム))機構を明らかにし、臨床応用可能な核酸・キャリア複合体の開発を試みる事を主たる目的としている。当該研究期間において、以下のような成果を得た。 Anti-PEG IgM分泌誘導において、核酸の配列が大きな影響を与える事が明らかとなった。pDNAにおいてはToll-liker eceptor (TLR)刺激性があるCpG配列が、siRNAにおいてもやはりTLR刺激活性がある配列を有する物がanti-PEG IgMの分泌を亢進する事が分かった。さらに、TLR刺激に密接に関連する事が知られる炎症性サイトカイン(IFN-γ、TNF-α、IL-6)の分泌を評価したところ、CpGを含むpDNAにおいては全てのサイトカインにおいて有意な分泌亢進作用が確認された。一方、siRNAにおいてはTNF-α、IL-6において有意な分泌亢進作用が確認されたが、IFN-γにおいては有意な亢進作用は観察されなかった。これは両核酸が刺激するTLRが異なる事を示唆している可能性が高い。ついで、TLRの寄与をより明確にするため、MyD88欠損マウス(MyD88 knockout mouse)を用いた検討を行った。結果、anti-PEG IgM分泌および各サイトカインの分泌誘導ともに顕著な抑制が観察され、予想通りTLRを介した免疫刺激が極めて重要な役割を果たしている事を直接的に明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説に対して証拠となる明確な結果を得ることができ、当初計画を前倒しして研究を推進することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿った研究を前倒しで行えており、問題も生じていないため当初の計画に沿って今後も研究を精力的に発展させる。
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Research Products
(17 results)